“技術立国・日本”は復活するか!?号

「やまさん」こと、おちゃのこ山崎です。

かつて「技術立国・日本」という言葉がありました。
1990年代から2000年代前半にかけて、それは日本人がみずからを誇らしげに語るフレーズでした。

そのことを裏付けたのは、学術論文数でアメリカに次ぐ世界第2位、国際特許出願件数で世界第1位、2000年~2015年におけるノーベル賞受賞数もアメリカに次ぐ世界第2位という数字でした。

しかし1990年代より経済成長が陰りを見せ始めると、世界をリードしていた家電産業、半導体産業がシェアを低下させていきます。そしてリーマンショック後の2009年以降、研究開発費が減少し、それに伴って研究力の低下があらわになりました。

日本の凋落を決定づけたのは、2016年の台湾・鴻海精密工業によるシャープの買収でした。それに先立つ2011年には、三洋電機の白物家電事業が中国・ハイアールに売却されています。

果たしてこれから日本の巻き返しはあるのでしょうか。それとも頼みの自動車産業までズルズルと後退してしまうのでしょうか。

今回の「オススメ参考書」では、そんな日本の危機と復活の処方箋を示した本を紹介します。

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オススメ参考書~読んだら即実践してみよう!

イノベーションはなぜ途絶えたか ――科学立国日本の危機

山口栄一・著/ちくま新書・刊

825円(キンドル版・税込)/880円(紙版・税込)

著者の山口栄一氏は1955年福岡市生まれの物理学者、イノベーション政策学者です。東京大学理学部物理学科卒の理学博士で、米国ノートルダム大学客員研究員、NTT基礎研究所主幹研究員、フランスIMRA Europe招聘研究員、21世紀政策研究所主幹研究員、同志社大学教授、英国ケンブリッジ大学クレアホール客員フェローなどを歴任した後、現在は京都大学名誉教授、京都大学産官学連携本部特任教授、立命館大学招聘客員教授の肩書を持っています。専攻はイノベーション理論、物性物理学です。

本書の他に著書は『試験管の中の太陽 常温核融合に挑む』(講談社)、『イノベーション 破壊と共鳴』(NTT出版)、『死ぬまでに学びたい5つの物理学』(筑摩選書)、『物理学者の墓を訪ねる ひらめきの秘密を求めて』(日経BP社)があります。編著書は『JR福知山線事故の本質 企業の社会的責任を科学から捉える』(NTT出版)、『FUKUSHIMAレポート―原発事故の本質』(日経BPコンサルティング)、『イノベーション政策の科学 SBIRの評価と未来産業の創造』(東京大学出版会)です。

本書には「はじめに」はありませんが、「おわりに」に本書の提言がまとめられていますので、最初にそちらを紹介しておきます。

***
日本は、1990年代後半に起きた中央研究所の終焉の後、新しいイノベーション・モデルを見つけられないまま、今に至っている。しかも産業競争力を下支えする科学分野が収縮しており、根源的に危機的状況にある。
(中略)
土壌を切り捨てることにより「贅肉を切り落とそうとして誤って脳みそを切り落としてしまった」日本では、創造的な若者たちが創造の場を失って、ワーキングプアに成り果ててしまった。
***

しかし著者は、日本にはまだ復活の目があると考えています。
***
10年後の未来は、現在の土壌の中からしか生まれない。とはいえ、事態は待ったなしで、大企業中央研究所モデルに回帰する余裕はもうない。技術インテリジェンス(土壌の中にどのようなパラダイム破壊が進行しているのかの探索)をする探索型研究組織を創り、かつ企業の垣根を取り去って、技術の目利き、すなわちイノベーション・ソムリエを備えることだ。見出されていないものの、パラダイム破壊の能力を有する日本のベンチャー企業は確かにある。
***

これで本書の方向性がある程度予測できると思います。それでは目次を見てみましょう。

・序章 沈みゆく日本を救え
1 イノベーションを生み出せなくなった日本企業
2 どうすればイノベーションは復活するか

・第一章 シャープの危機はなぜ起きたのか
1 危機の構造――「山登りのワナ」
2 危機からの脱出策

・第二章 なぜ米国は成功し、日本は失敗したか
1 日米の違いはどこに?
2 SBIRとは何か
3 日本の制度的失敗

・第三章 イノベーションはいかにして生まれるか
1 創発―科学の本質に迫る
2 共鳴と回遊
3 パラダイム持続型イノベーションからの脱却へ

・第四章 科学と社会を共鳴させる
1 トランス・サイエンスとは何か
2 象徴的な二つの事故
3 なぜ組織の科学的思考は失われるのか

・第五章 イノベーションを生む社会システム
1 共鳴場を再構築する
2 大学・企業の制度改革
3 誰もが科学する社会へ

・おわりに
・あとがき
・参考文献
・事項索引
・人名索引

序章では、現在の日本が置かれている状況について、悲観論に傾くわけでもなく、楽観論に与するわけでもない、公正な見方で解説しています。

著者は「日本の科学が危機に瀕している」と警鐘を鳴らします。巷には「日本人のノーベル賞受賞者は、特に自然科学について米国に次いで世界第2位」という楽観論もありますが、著者は「ノーベル賞は20年以上前の研究成果に基づくもの」と、これを切り捨てます。

***
なかでも今世紀に入ってから、日本のお家芸だった半導体や携帯電話をはじめとするエレクトロニクス産業の国際競争力は急落し、その生産額は最盛期の2000年から半減した。21世紀のサイエンス型産業の頂点に位置する医薬品産業も、日本は2000年初頭に国際競争から脱落してしまった。このことはとりもなおさず、日本のハイテク企業からイノベーションが生まれなくなったことを意味する。
***

どうしてそうなったかについて、著者は短い言葉で断言しています。
***
進展するグローバリゼーションの中で日本社会は旧来の産業モデルに固執して、時代に即したイノベーション・モデルを見出せないまま、周回遅れで世界から取り残されている。日本はリスクに挑戦する力を失い、研究・開発で創造してきた多くの新技術を経済価値に変えることに失敗したのである。
***

そのような日本における科学の危機が生んだ悲劇が、あの3.11の事故だといいます。
***
科学の危機は日本の産業競争力の低下にとどまらない。2011年3月に起きた東京電力福島第一原子力発電所の過酷事故は、技術企業の経営に科学的な思考が欠落しているという事実を一気に露呈させた。事故の根源を探ると、寡占・独占企業におけるイノベーションの不在に行き当たる。
***

ではなぜ技術立国・日本からイノベーションが失われてしまったのでしょうか。著者は制度的・構造的な要因があるといいます。そして、その詳細を突き止め、日本再興への処方箋を示すのが本書の役割であると語っています。

かつて日本を牽引していたのは、大企業の中央研究所でした。ところが著者が海外での研究を終えて帰国した1998年、それらの研究所が次々と閉鎖されてしまったのです。
***
98年、日本に帰国したとき、私は愕然とした。エレクトロニクス産業のみならず医薬品産業の大企業までが、その「中央研究所」を次々に閉鎖・縮小し、そこで働く優秀な科学者・技術者たちが配置転換を余儀なくされようとしていたからだ。いわゆる「大企業中央研究所の時代の終焉」と呼ばれる現象である。「中央研究所」とは、それぞれの企業で呼び方が違うものの、科学研究(基礎研究)を主たる業務とする企業の大部門のことである。
***

それまで、日本企業の中央研究所は、最先端の研究をもとに数多くの技術革新を生みだしてきていました。当時の日本では国全体の研究費の8割が民間企業によるものでした。大学の研究はイノベーションにほとんど寄与せず、企業の研究こそがイノベーションのエンジンだったわけです。

ところが、90年代後半になると、日本企業は研究から手を引くようになりました。アメリカのベル研究所やIBMの研究機関が縮小されたのを真似したからです。それにより、日立の基礎研究所が事実上の閉鎖となり、NTT、NEC、ソニーなどの中央研究所も縮小されました。

このことに危機感を覚えた著者は、物理学研究の手をいったん休め、イノベーション戦略の研究と政策提言を始めました。そして会社経営を学び、ハイテク・ベンチャーを実際に創業します。そのような活動を通して培った著者の目が、漂流する日本という名の「沈みゆく船」を救うために本書で役立てられています。

***
日本は今、21世紀型のイノベーション・モデルを見つけられないまま漂流を続けている。制度を整えたうえで、ちりぢりになって漂っているボートから有能なイノベーターたちを救い出しさえすれば、この「沈みゆく船」を救うことができるはずだ。そのためには、今あるイノベーション・システムの隊列を根本から組み直さなければならない。本書は、日本再生に向けて設計図を描き出す試論である。
***

第一章は凋落する日本を象徴する出来事であった、鴻海精密工業によるシャープの買収を詳細に解説したものです。日本経済を牽引してきた電機大手が外国資本の傘下に入るという初めての出来事は、日本の産業界に大きな衝撃を与えました。

1912年に早川徳次によって創業されたシャープは、ベンチャー企業から2兆円余の売上を誇る大企業にまで成長した会社でしたが、日本では珍しい「イノベーション型企業」でした。

量産太陽電池、トランジスタ電卓、液晶電卓、大型カラー液晶のような世界初の先進技術製品や両開きの冷蔵庫ドア、カメラ付き携帯電話などの革新的な製品で一世を風靡しました。

そのようなシャープの組織イノベーションは、新しいアイデアを思いついた社員が社長に提案して、部門横断的にチームを結成する仕組みによって実現されていました。社長直轄で自由にプロジェクトチームが作られるこの方式によって、自由な発想の製品が生みだされてきたわけです。

しかし、そんなシャープが2011年度に大幅赤字に陥り、2016年に買収されてしまいました。世間の論調は、「液晶事業への身の丈に余る設備投資」が原因であるとしていましたが、著者は違うところに原因があると考えていました。

著者の考えたシャープの敗因は、著者が「山登りのワナ」と呼ぶ状況に会社全体がはまってしまったから、というものでした。

「山登りのワナ」とは、ある山に登ってしまったら、他にもっと高い山があることを見なくなり、たとえ見えたとしても、登る行為自体がワナとなって下りられなくなる現象のことです。

***
山に登る前には、どの山が高いかわからない。そこである山をめざして、ヒト・モノ・カネという生産要素をそこに集中させる。すると、その集中自体がワナとなり、もっと高い山が見えなくなって、より良い未来をもたらすべき製品への研究も開発もできなくなってしまう――。シャープには、そのような組織現象が現れたのではないか。
***

著者はこの「山登りのワナ」がシャープ固有の経営問題ではなく、日本のサイエンス型産業全体が抱える構造的な問題だと考えて、シャープの事例をより深掘りしていきます。

シャープは98年度から2007年度にかけて、売上高を倍増させ、2兆7000億円を達成しました。その翌年、当期純利益がマイナス1258億円となり、初めてのつまずきを経験しました。

「2005年までにテレビをすべて液晶にする」と宣言したシャープは、液晶事業に強力な集中と選択を始めました。2002年に1000億円以上をかけて建設した亀山工場は液晶テレビ「アクオス」の大ヒットで「世界の亀山モデル」ともてはやされました。

この成功体験に勢いづき、4300億円の巨費を投じた堺工場が建設されます。しかしその最中の2008年にリーマン・ショックが起きて液晶パネルの売り上げが止まります。在庫が膨れ上がって大赤字となり、競争力が低下したことで韓国勢にシェアを奪われてしまいました。

亀山工場の大成功の裏には、問題が潜んでいました。液晶にリソースを集中させすぎて、光ピックアップ(CDやDVDのデータを読み取る装置)や半導体レーザーなど、その他の光・電子デバイスの競争力が一気に下がってしまったのです。

光・電子デバイスは稀少性が高くて模倣が困難なため、安定的に利益が稼げる分野でした。本来なら次世代製品を研究・開発し、市場をリードし続ける必要がありました。しかし液晶に集中しすぎたために次のデバイスを研究することができませんでした。こうして2010年以降、シャープの研究開発本部からは新しい先進的な部品が生まれなくなりました。

著者はシャープの事例を取材するうちに、企業には2種類の技術者がいることに気づきました。
***
ひとつは既知の知識世界の中で、その知識の量を競い合うタイプの技術者である。彼らは技術の極限をめざしているものの、未知の知識には興味を持たないし、むしろそれに関わることを忌み嫌う。(中略)生産部門の技術者は、ほとんどこのタイプである。このタイプを「既知派」と呼ぼう。
***

***
もうひとつは、既知の知識世界で競い合うことに意味を見出さず、未知の世界をいつも探索するタイプの技術者である。彼らはいつも登山への疑念を抱き、他にもっと高い山があるのではないかと、未知の山ばかりを探す。研究開発本部の科学者・技術者は多くこのタイプだ。このタイプを「未知派」と呼ぼう。
***

2つのタイプの技術者は、どちらも企業にとって必要だと著者はいいます。しかし、「選択と集中」がなされると、「既知派」が会社の空気を支配し始めます。その結果として、「山登りのワナ」が生まれるわけです。

著者はこの流れを、事務系社員の側からも眺めてみました。
***
設備投資を回収するためには、とにかく製造し続けなければいけない。それを止めた瞬間に、数千億円レベルで在庫の減損が出る。生産活動自体は販売よりも利益が出るので、工場を稼働させるために、とにかく作り続ける。販売の力が弱いために売り切れずに在庫が溜まり、あとで減損しなければいけなくなり、損益計算書にドンと現れる。そうなることはあらかじめわかっているにもかかわらず、やめられない。そのジレンマは相当なものだという。
(中略)
財務体質が悪化すれば、企業体力も弱体化していくので、先行投資を削らざるを得ない。そうすると、ネガティヴなスパイラルに入っていく。(中略)液晶の生産現場は、財務系部門とは「文化」が異なり、とにかく作って工場の稼働率を上げることが「善」となる。
***

財務系幹部が「在庫リスクが高くなる」といくら具申しても生産現場は耳を傾けません。その結果、生産し続けて在庫の山を築き、巨額の赤字が出てしまったわけです。その財務系幹部は、リーマン・ショック以前から財務の危機が来ることを予想して警告を発していたそうです。

***
たとえイノベーション型の企業でも「山登りのワナ」から逃れることは難しい。そして未知の知識に無関心なうえプライドも高い「既知派」の生産技術者が企業の意思決定システムを担っているとき、そのワナから逃れることはほぼ不可能になる。こうなると、そのワナから脱するためには唯一、外圧に頼るほかはない。
***

著者はインタビューした財務系幹部に「鴻海の傘下に入ったのはシャープ再生にとってはむしろ大変良かったことにならないか。これからシャープは未来技術の研究と開発に集中することができ、液晶の生産は鴻海に任せられるではないか」と尋ねてところ、「その通りなんです」という答えを得ています。

この章のまとめはこうです。
***
これまでずっと会社の経営や制度を支えてきた企業文化と世界観(これをパラダイムと呼ぼう)がじつは間違っていたということが明らかになったとき、初めて組織は「山登りのワナ」から解き放たれて自由になるということ、さらにこれによって「創造の場を失っていた」人々が息を吹き返して、企業はパラダイムを破壊する勇気を獲得するということである。
***

外資に買収されて、一見敗北したかのように見えたシャープですが、その実は真のグローバル企業に成長するためのカギを手に入れたのかもしれないと著者は見ています。

第一章だけで紹介する文字量を使い切ってしまいましたが、この後には日米のイノベーション環境の違いや、日本型企業の陥りやすい問題点とそこから脱却するヒントが続きます。興味のある方は、ぜひ続きを本書でお確かめください。


 

EC仙人のダメ出し!道場

 

有限会社スタイル・イー

有限会社スタイル・イー
代表:太田哲生
http://www.style-e.com/

唐突ですが、幸福度の都道府県ランキングで4年連続1位の県はどこでしょう?

正解は、沖縄県だそうです。
(出典:ブランド総合研究所 幸福度調査2024)

※幸福度について
「世界幸福度」の設問を参考に、「あなたは幸せですか」という設問に対し、「とても幸せ」「少し幸せ」「どちらでもない」「あまり幸せではない」「全く幸せではない」の5段階の選択肢から回答者に主観で選んでもらったものです。

他にもいろいろな調査があるでしょうが、純粋に「とても幸せ」を選んだ県民が多い沖縄県での暮らしは、きっと幸せ度合が高いのでしょうね。

また、幸福度、生活満足度、愛着度、定住意欲度の4つの指標の平均点を「持続度」として算出したところ、沖縄県は5年連続で1位なのだそうです。

経済的に見れば、所得金額の絶対値は低いし、台風や暑さなど自然の脅威も高いなどマイナス面もあるでしょうが、食費など相対的な生活物価の安さや、助け合いの精神が強い社会性・人間関係、時間や混雑、渋滞などストレスの低さ、家族・親戚観、自然の美しさ、伝統や文化など、多くの点で地元への親しみが深く、愛着度、生活満足度、定住意欲度を高め、「とても幸せ」な人を多くさせているのでしょうね。

シンプルに言えば、住民が幸せを感じ、生活に満足し、地域に愛着があり、住み続けたいと思う人の割合が多い県だということです。

そう思える生き方、ホントにいいですね~(^-^)

さてさて、今回のお店は、そんな沖縄県から住環境の幸福度を高められそうな!? お店です。(^^;)

それでは、「ダメ出し!道場」始まりです!

ダメ出し!依頼ショップ
沖縄表装

ショップ名 :
沖縄表装ショップさん

サイトURL:
https://hyoso.ocnk.net/

ショップの現状、お悩みの点など

売上が伸びません。
今までレビュー機能などを利用しなかったせいかなとも思っています。


第一印象:店名に「沖縄」を掲げているのに…強みに出来てない

沖縄表装さんはその名の通り、沖縄県は那覇市にある表装屋さんです。
「表装」とは元々は、書道作品や日本画を掛け軸や巻物などに仕立てたり、障子や襖(ふすま)、屏風などのいわゆる表具を作り上げることを指します。つまり表装屋さんはこれら表具に関する商品販売と仕立てをするお店だということです。

さて、業種は問わず通販ネットショップの一般統計論として、購入者の分布は大体人口分布に比例します。東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、愛知、兵庫、福岡…と大都市を抱えるエリアからの注文が多く、ゆえにここへの送料がどうしても高くなる沖縄県のお店は最初からハンディがあります。

それでも沖縄のお店で買いたい物、沖縄のお店でしか買えないものがあれば十分に購入動機になりますが、裏を返せば東京や大阪のお店でも買えるものをわざわざ高い送料を払って沖縄のお店から買う人はなかなかいないということになります。

現状の「沖縄表装」さんの商品ラインアップを見ると、「月桃紙」(げっとうし)という沖縄産の植物から作られた紙の商品以外は、沖縄県外のメーカーさんの商品が多く、「沖縄ならでは」の表装屋さんではなく、単に「沖縄にある」表装屋さんになっており、東京や大阪や他府県の表装屋さんと同じ土俵で比較される状況だということです。

送料のハンディを補うほどの価格競争力は当然なく(他府県からの仕入れにも高い送料がかかってるし、スケールメリットを出すほど大量仕入れができている訳でもない)、現状のままではなかなか売れないのも致し方ないと思われます。

沖縄県内の地元の方には近くて便利な表装屋さんとして購入してもらえるとは思うのですが、ターゲットを全国他府県のお客様だとするならば、「わざわざ高い送料を払ってでも沖縄のお店から買う」だけの理由・動機を作っていかねばならないと思います。

私の初見時の「沖縄表装」という店名から期待されるイメージは、「沖縄ならでは」の表装関連商品が充実している専門店!? でしたが、「バンクシー」や「ゴッホ」、「北斎」の掛け軸やアート額を沖縄のお店から買うか? というと…

例えるなら、ハワイ旅行に行って「ハワイ雑貨」を名乗るお店でロシアのマトリョーシカやエジプトのピラミッドグッズを買うだろうか? というような違和感がありました。(地元の人は輸入雑貨として買う可能性はありますが、他国から来た人はまず買わない)
やはり、「ハワイ雑貨」のお店にはハワイならではのグッズを期待しますよね。

まずは「沖縄表装」の店名にふさわしい品揃えやコンテンツの充実という商品基本戦略から見直す必要があると思います。

インタビューで浮き彫りになったこと

今回も店長の砂川ひとみさんにお電話でインタビューさせていただきました。

沖縄表装さんは1970年に先代が「旨越商会」として創業。
2006年から砂川さんがおちゃのこネットでネット販売を開始。
2014年より「沖縄表装」に変更して現在に至る。
地元沖縄県那覇市で内装屋さん、畳屋さん、工務店さんなどへの卸売りと納入施工・協業で全国のメーカー品を仕入れ販売。

ネットでは障子紙、襖紙、壁紙などは思うように売れず、海外からのお客様を想定して、日本の書画の掛け軸をプッシュしてみているとのことですが、外国語対応はできていないので反応はイマイチだとか。

唯一の「沖縄県産商品」である「月桃紙」という商品があるが認知度は低く、まだあまりプッシュできていないものの、検索して来てくれてリピート買いする業務用途のお客様もおられるとのことで、ここにヒントとチャンスがありそうです。

「月桃」とは、東南アジア、インドなど亜熱帯、日本では沖縄のほか八丈島や小笠原などに自生するショウガ科ハナミョウガ属の多年草で、沖縄ではサニン、サンニンなどと呼ばれ、月桃は台湾での漢字名です。

種・花・果実・葉・根茎がお茶、食用、漢方薬、香油、虫よけ、防腐、防カビに使われ、葉や茎の繊維は紐や布生地、紙の原料にもなります。

防腐効果もある月桃は、気温が高く食材が傷みやすい沖縄では、餅やまんじゅう、ご飯などを月桃の葉で包んで保存に使うそうです。

月桃紙は月桃の茎から採れる繊維を原料として漉いた和紙で、和紙特有の調湿性やナチュラルな質感に加え、月桃が1年で収穫できる高さに成長するので環境負荷が小さく、CO2削減、温暖化防止のエコな素材といえます。

具体的なダメ出し&改善策

まずはお店と店長の自己紹介。

特商法表示こそありますが「沖縄表装」はいつできたどんなお店で、どのくらいの業歴や経験、スキルや強みがあるのかなどがまったく記されておりません。

ただ沖縄の地で表装屋をやっているというのではなく、できれば県外(全国)のお客様を意識して沖縄らしい特徴や、沖縄(暑い南国)ならではのイメージやデザイン、暑さ対策に有効な表具の知恵、流行の琉球畳のインテリアにマッチしそうな表具デザインやコーディネートなど、「物」だけでなく「アイデア」や「提案」を盛り込んだ【強み】の自己紹介にしていって欲しいです。

https://hyoso.ocnk.net/profile
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店長紹介も、ただ名前や趣味を書いただけではお客様にとって何のプラスにもなっていません。表具屋・表装屋としてのこだわりや経験、得意技、熱い思いやエピソード、沖縄発のお店としての強みや特長、メッセージなど、お客様に「信頼できるプロだな~」と思われるような自己紹介にしてください。

お店の自己紹介も店長の自己紹介もよく見られるページです。
つまりは見ていただけるチャンスの多いページなのです。
しっかりとアピールしてお客様をグッと引き込みましょう。

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色柄バリエーション・質感は最重要!
写真や動画を駆使して画質、見せ方を妥協しない!

例えば、
月桃紙 ふすま専用 m販売
https://hyoso.ocnk.net/product/52

説明文中には「自然な生成りの色」とありますが写真からはかなり黄緑がかった色に見えますし、解像度が低く表面の質感はほとんどわかりません(感じられません)

静止画写真の解像度も上げて欲しいですし、できれば動画を用いて紙を手に取って反らしたり揺らしたり波打たせたりして、光の当たる角度を変え、表面の凹凸感や立体感、透け感、紙の弾力感やハリやコシ、厚みを感じさせて欲しいです。力を入れて破ってみせて、強度や繊維の感じなども伝えて欲しいですね。

今の静止画だけでこれらを想像して「よし!注文しよう!」とまではなかなか至らないと思います。

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月桃紙 壁紙用 m販売 [L01]
https://hyoso.ocnk.net/product/12

これも、写真が黄緑がかって見えているのですが…
撮影時の照明、カメラのクセ、画像加工など今一度見直してみてください。1台のパソコン画面だけでなく、違うパソコンやいろいろなスマホ画面でも確認してみましょう。

壁紙用は撥水・防汚の表面加工されたタイプとされていないタイプがあるようですが、言葉だけの説明ではなく、実際に霧吹きで絵の具やお醤油を吹き付けて見せたり、ケチャップなどを付けて、それらを拭きとってお掃除できることを見せたりして欲しいです。
どの程度の防汚性があるのか? また質感の違いも見たい。
これも動画が必要だと思います。

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インテリア和紙 燦【SAN】211?213 カモミール 和モダン
https://hyoso.ocnk.net/product/204

月桃紙以外の紙類も写真がイマイチ解像度が低く、色柄はわかっても表面の凹凸など立体感・質感がわかりません。
「表具」「表装」というくらいですから、「表」の質感が感じられないと購入の決断まで至りにくいですし、もし購入してからイメージ違いだと、返品リスクや不満足リスクが高まります。

妥協せず、しっかりと写真や動画を用意して質感を伝える努力をしましょう。

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SNSに関しては Instagram をメインに発信していくのが良いと思いますが、リール動画投稿をメインに新規フォロワーを増やしましょう。個人だけでなくインテリアや建築業界のプロの目を意識した投稿内容やハッシュタグを付けてBtoBの引き合い・問い合わせを呼び込む工夫をしましょう!

ハッシュタグや説明文に手を抜いた投稿は無意味です。できるだけ多くのハッシュタグを付けて投稿しましょう。直接扱っていない商品でも、例えば #琉球畳 #インテリアコーディネート #和風インテリア など、人気で流行りの「琉球畳」が好きな人ならきっと連想されるだろう関連ワードも入れておけば、#月桃紙 を知らない人も興味を持ってくれる可能性が高まると思います。

65点
総評

普通の「表具屋・表装屋」としてなんとなく「物」を売ってきたお店ですが、これを機会に本当の「沖縄(ならでは)の表装屋」として沖縄産の「月桃紙」を主軸に、その他の商品も沖縄らしい色柄やコーディネートなど特長を出して他県の表具屋との差別化を図っていきましょう。

また、ターゲットは「沖縄らしい表具」が好きな全国の個人客だけでなく、DIYが好きな全国の個人客へ貼る素材としての月桃紙、他の紙製品の用途提案。加えて全国の「建築事務所」「内装屋」「インテリア関連業者」「畳屋」「表具屋」「建具屋」などへの「沖縄月桃紙」の卸売り提案(月桃紙メーカーさんの代理店として営業代行で無在庫販売で小リスク経営)も検討されるとよいのではないでしょうか。

小人数での経営ですし、個人向けの通販で数をこなすより、法人向けの営業で客単価を上げた方が沖縄の送料ハンディも少なくなりますし、月桃紙の希少性や認知度の低さもBtoBならかえって強みにできます。

月桃紙は沖縄の風土、文化にもなじみのある貴重な県産資源でもあるので、沖縄表装さんの主力商品としてもふさわしく、これを使った提案次第で活用のノウハウを蓄積していけば、月桃紙を扱う他店との差別化も可能だと思います。

紙の質感・見せ方・写真に関してはダメ出ししましたが、いっそ、実物サンプルを「サンプル帳」としてあえて有料化し、300円~500円送料込みなど損をしない程度のできるだけ安い値付けでお届けするようにしておけば、購入本気度の高い見込み客だけにサンプル提供ができます。サンプル帳購入者には、後の本注文の際にサンプル帳代金分+αを値引いてあげるクーポンを同梱すれば、お互いに損をしないWin&Winな提案になると思います。

お客様にとっても襖数枚、壁1面となれば数万円の買い物になるので、できれば実物サンプルで色と質感を確認したい方も少なくないと思います。

その他、貼る対象をプラスチックや合板、家具、コンクリートなど広くいろいろと想定して、沖縄表装さんでテストして、それぞれに合う接着剤や上手な貼り方をノウハウとして情報提供できれば、これも他店との差別化に繋がります。

紙を売るんじゃなく「貼ってリメイク、リフォーム、リノベ」というソリューション(解決策)やベネフィット(便益)を売る! ができれば収益アップ、成長ができると思います。

月桃紙は宝の原石だと思います。ぜひ磨いて光らせて、幸福度No.1の県から全国に幸せをお届けしてあげてください!(^-^)

その他、具体策でお悩みの場合はまたお気軽にご相談ください。
沖縄には行ったことがないのでぜひお呼びください!(^^;)

以上。「ダメ出し!道場」でした!

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国際紛争や情勢不安による円安物価高、資源高、エネルギーコスト高などで逆風の強い時代ですが、マイナスムードに負けず、「ピンチはチャンス!」と思い、新しいアイデアと新商品、新サービスを開発して乗り越えましょう!

差別化するアイデア出し、商品企画、ジリ貧回避、マンネリ化打破など、アイデアに行き詰まった際はぜひお気軽にご相談ください!
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ここで、商品企画へのアイデアとヒントです!

毎回「ダメ出し!道場」登場のお店に電話でインタビューをさせていただいていますが、軽くインタビューと言いながら、実際には事前にお店のサイトを1~2時間かけてじっくり拝見し、お客様目線、プロ目線の両方から疑問点、気づいた点を洗い出してからお電話させていただいています。

最初はこちらからいろいろとご質問をさせていただき(インタビュー)ますが、後半はお店からのご質問、ご相談を受け、回答やアドバイス、アイデア、事例紹介など(プチコンサルティング)させていただいています。過去平均すると1店舗様に1時間半~2時間程度はかけています。

そのためか、インタビューさせていただいたお店の方々からは、下記のような感謝や喜びのお言葉を多くいただいています!

◆「目からウロコが落ちた! たくさん気づきがあった!」

◆「自身が気づいていなかった強みや特徴を見つけてもらった!」

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◆「新商品のアイデアまで出してもらえるとは! ワクワクしました!」

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先着順にて受付させていただきます。(週に2店舗程度・状況に応じて)
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内容:
【店舗名】:
【店舗URL】:
【ご氏名】:
【電話番号】:営業時間外でも連絡のつく携帯電話
【メールやLINE、Messengerなど気づきやすい連絡手段】:
【自店の特徴・強み・弱み】:
【相談したい点、見てほしい点、悩んでいる点など】:
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以上、皆さまからのご相談・お申込みお待ちしております!



ダメ出し道場登場ショップ募集中
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さて…
オンラインショップの本質は表のホームページからだけでは見えない接客や、梱包、配送、そして商品そのもの等、「裏」の強みや弱み、そして個別の事情によるのが当たり前です。
実際に、「売れる・儲かる」という部分は、実はこの見えないところにこそ本質的な秘密や課題があるものです。
この「ダメ出し!道場」の企画は、公開という性質上、あくまで表から見たお店の印象や、そこから類推できる範囲の改善点をお客様目線でご指摘するものですので、ご理解ください。

もっと突っ込んで、あなたのお店の事情や商品、人事、資金などの問題点や課題を「洗い出したい!」「解決したい!」「強みを作りたい!」という店舗さんは、個別にご相談をお受けいたしますので、「ダメ出し!道場見ました!」の件名にてメールにて直接お気軽にご連絡くださいませ( info@style-e.com 太田まで)。


このコーナーでは、テンプレートのカスタマイズについて、実際のサンプルページを元に紹介していきます。

皆さん、こんにちは。おちゃのこネットの刑部です。

今回のデザイン道場は、先日リリースした記事コンテンツの日付をドット、ハイフンに変更、非表示に設定する方法をご紹介します。
コーディネイトや事例の紹介で日付を表示したくない場合などにご利用ください。






管理画面から設定する

コンテンツ管理→What's New、店長日記、記事コンテンツの各コンテンツ表示設定から設定できます。

詳しくは以下のFAQをご確認ください。
https://www.ocnk.net/faq/?action=faq&id=943
https://www.ocnk.net/faq/?action=faq&id=1716
https://www.ocnk.net/faq/?action=faq&id=1747

 

なお、お問い合わせは下記ページからお願い致します。

https://www.ocnk.net/contact/index.php

編集後記

あっという間に気温が下がり、半袖では寒い季節になりました。お彼岸を過ぎてちゃんと彼岸花も咲き始め、自然界はしっかりと帳尻を合わせています。人間も後れないようについていかないといけませんね。
(おちゃのこ山崎)

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