怒りをコントロールする『アンガーマネジメント』とは?号

「やまさん」こと、おちゃのこ山崎です。

都合により配信が1日遅れました。申し訳ありません。

ひょっとすると関東は梅雨入りなしに夏になるのでは? と思われた今年の天気ですが、2週間遅れで梅雨入りとなり、なんとか日本の四季は保たれたようです。

そして東京は都知事選挙に突入しました。法の抜け穴を突いたパフォーマンスが話題になったりして、本来の選挙戦とは違うところに注目が集まっていますが、これもSNS社会の副産物なのでしょうか。

SNS社会といえば、ネット上でのやり取りで腹を立てる人が多くなっているそうです。大勢の人たちとのコミュニケーションが増えたせいで、思わずきつい言葉を投げつけてしまったり、相手の立場を考えない対応をしてしまったりする状況が発生しやすくなっているのでしょう。

「怒りっぽい」のは社会人の大人としてはマイナスの要素ととられがちです。道路上でカッとなってしまうあおり運転は犯罪ですが、ビジネスの現場でも怒って得をすることはありません。

今回の「オススメ参考書」は怒りをコントロールするアンガーマネジメントの本を取り上げることにします。

お知らせ おちゃのこネット20周年

2024年6月21日、おちゃのこネットは20周年を迎えました。

2004年のサービス開始以来、延べ10万ショップの方にご利用いただきました。
多くの方々にご利用いただけているからこそ、20年間も続けられていることを実感しております。
ありがとうございます。

まだまだ、皆さんに満足していただけるサービスにはなっていないと思います。
これからも日々改良を重ねて、より良いサービスを30年、40年それ以上に続けていけるように努力して参ります。

今後ともよろしくお願いいたします。



オススメ参考書~読んだら即実践してみよう!

怒りが消える心のトレーニング=図解アンガーマネジメント超入門

安藤俊介・著/ディスカヴァー・トゥエンティワン・刊

1,287円(キンドル版・税込)/1,430円(紙版・税込)

本書の版元であるディスカヴァー・トゥエンティワン(Discover21)は、1985年創業の比較的若い出版社です。取次を通した委託販売ではなく、書店と直接取引をするのが特徴で、2010年には『超訳ニーチェの言葉』(白取春彦・編訳)が119万部という大ヒットを記録しました。

勝間和代、喜多川泰などを見出した出版社として知られ、ビジネス書や自己啓発書を得意としています。「ディスカヴァー携書」「DIS+COVERサイエンス」という新書レーベルもあります。

著者の安藤俊介氏は、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会ファウンダー兼理事で、アンガーマネジメントコンサルタント。この分野における日本の第一人者だそうです。アンガーマネジメントの理論と技術をアメリカから導入し、アメリカに本部のあるナショナルアンガーマネジメント協会において15名しかいない最高ランクのトレーニングプロフェッショナルに、アジア人でただ1人選ばれています。

主な著書は『アンガーマネジメント入門』(朝日新聞出版)、『アンガーマネジメントを始めよう』(大和書房)など。著作はアメリカ、中国、韓国、タイ、ベトナムでも翻訳され、累計80万部を超えるそうです。

では、本書がどんな内容なのか、「はじめに」をのぞいてみましょう。
まず目に飛び込んでくるのが「怒りは人生を壊す唯一の感情です」という言葉です。本書は全ページが黒と水色の2色刷りなのですが、この水色で書かれた文字が目に飛び込んできます。

それを受けて次に色文字で書かれているのが以下の言葉です。
「重要なのは怒りに振り回されずに、コントロールすること。その方法が、本書で紹介するアンガーマネジメントです」

《怒りなんてコントロールできるのか?》
という読者の心の声に、著者はこう答えています。
「心配ありません。アンガーマネジメントを使えば、誰でも怒りをコントロールできるようになります。なぜなら、この私自身がアメリカでアンガーマネジメントを学ぶまでは、かなり怒りっぽい人間だったからです」

続いて、怒りをコントロールするための4つのテクニックが紹介されます。
(1)とっさの怒りを抑える方法
(2)怒らないための習慣
(3)ムダに怒らない心の持ち方
(4)怒りを上手に伝える方法

ちなみに、アンガーマネジメントというと、怒りを我慢することと思っている人が特に日本人には多いそうですが、著者に言わせるとそれはまったくの間違いです。怒りをため込むことはストレスになり、心の不調を呼び寄せるからです。「怒りと適切に付き合って、コントロール下におくこと」こそがアンガーマネジメントの真骨頂なのです。

本書の内容も、上記の4つのテクニックに沿って展開されていきます。読みやすく理解しやすいようにオール2色刷りであるのに加えて、豊富なマンガと図版、各章のまとめが用意されています。それでは目次を紹介しましょう。

・はじめに
・プロローグ
・第1章 とっさの怒りを切り抜ける7つの対症療法
・第2章 怒らない自分をつくる9つの習慣
・第3章 ムダに怒らない人になる10の心の持ち方
・第4章 上手な怒り方7つのルール
・付録 実生活に役立てるアンガーマネジメント
・おわりに

各章の最後には「まとめ」がついています。目次を見てわかるように、各章は要素を数字であらわしていますので、まとめを先に見ることで内容が概観できます。たとえば第1章のまとめは次のようになっています。

□深呼吸をする
□目の前にあるものを観察する
□自分の動作を実況する
□怒りのレベルを数値化する
□その場を離れてクールダウンする
□ポジティブな言葉で自分を励ます
□頭の中のゴミ箱にイライラの気持ちを捨てる

さて、どの要素が気になったでしょうか。では試しに「怒りのレベルを数値化する」の本文を読んでみましょう。

著者は「怒りのレベルは10段階で数値化が可能です」と言っています。体温や血圧のように、怒りも数値化してそのレベルが記録できるというわけです。そのレベルは次のようになっています。

レベル0…「穏やか」ストレスやイライラがない状態
レベル2…「不愉快」イラッとしたり、不愉快な気分を味わっている状態
レベル5…「腹が立つ」前面には出ていないが、相当な怒りを感じている状態
レベル8…「爆発寸前」怒りが前面に出て、我を忘れそうになっている状態
レベル10…「最大級」震えが止まらないなど、憤怒、爆発に達する状態

中間の数字は、それぞれの間の状態を示します。これをX(旧ツイッター)や本書で紹介されているアプリ「感情日記」などに記録しておくと、自分の怒りにさまざまなレベルがあることに気がつき、怒りを客観的に見られるようになります。

アプリ「感情日記」は著者が開発したもので、怒りを感じた直後に出来事と怒りのレベルだけを記録します。たとえば「タクシーの運転手が道を間違えた 2」といった感じです。

「その場を離れてクールダウンする」では、アメリカでアンガーマネジメントが誕生したきっかけである「ロードレイジ」のことから話が始まります。
ロードレイジとは、運転中にキレて暴力的な行動を起こすことです。アメリカでは運転中の射殺事件が多発したことから、アンガーマネジメントの研究が始まったといわれています。

クールダウンの代表は、スポーツシーンでよく見る「タイム」です。試合の流れが悪くなったときに、監督や選手が審判に一時中断を求めて流れを変えようとするものですが、これはアンガーマネジメントにも効果があります。

たとえば相手に怒りを感じた場合、「ごめんね、ちょっと熱くなって今は話がしづらいから、少し待ってて」と正直に話し、いったん離席するのです。「5分中断します」というように時間を限ると相手に不信感を与えません。

ストライクが取れずに四球を連発して自滅していく投手の姿はよく見ますが、それを防ぐのが効果的な「タイム」ということです。

第2章は自分を変えることで怒らない自分をつくる方法について述べています。まとめには次のように書かれています。
□やけ酒やグチはやめる
□笑顔でいることを心がける
□不平不満を抱えた人とは付き合わない
□語彙力を身につける
□アンガーログをつける
□べきログをつける
□ハッピーログをつける
□自分の「べき」を書き換える
□「事実」と「思い込み」を切り分ける

この9つのテクニックは、どれも習慣づけることで自分を変えることができるものばかりです。というのは、著者によれば怒りっぽい人は自分がイライラしている原因を他人に求める傾向があるからです。自分を変えて他人を変えようとしなくなれば、おのずと怒りにくくなるというわけです。

自分を変える最初の一歩として、本書ではやけ酒やグチをやめようと提唱しています。やけ酒やグチは嫌な気持ちを心に定着させてしまう働きがあり、かえって怒りを増幅してしまうのです。それよりも、適度な運動やカラオケ、映画鑑賞、部屋の掃除などがいいそうです。脳からセロトニンが出て、リラックス効果があります。

その次の「笑顔でいる」というのもアンガーマネジメントとして大事な基本です。笑顔をつくるとポジティブな柔らかい気持ちになります。それに加えて所作を丁寧にし、言葉づかいに気を配ると、気持ちが穏やかになり、イライラ、トゲトゲした気分が解消されます。

「語彙力を身につける」というのは、怒りとは無縁のように感じますが、語彙力の豊富な人は多彩な自己表現ができるので、怒りが爆発することが少ないのだそうです。つまり、怒りっぽい人は表現力が貧しい人、表現不足な人といえます。

その次は「~ログ」が3つ並んでいます。自分の感情にまつわるいろいろな記録を付けて、感情の客観化をすることにより、怒りを遠ざけるやり方です。特に「べきログ」は大事で、「~すべき」「~べきでない」という考え方が怒りの根源なので、その気持ちを記録することで怒りの原因がマッピングできます。

ログを付けることが習慣化できたら、「3コラムテクニック」という少し上級の手法を使います。これは自分が怒りを感じた出来事を選び、ノートに3つの箱を作って「出来事」「べき」「書き換え」を記入します。

「出来事」の箱には、起きたこととその時自分がどう思ったかを書きます。「タクシーの運転手が道を間違えた。腹が立った」というぐあいです。

2番目の箱には自分が考える「こうあるべきだ」を書きます。「タクシーの運転手は道に詳しくあるべきだ」という感じです。それからその箱を読み返して、その考え方が長期的にみて自分やまわりの人にとって健康的なものかを評価します。この評価方法がアンガーマネジメントにおいて重要なポイントです。

3つめの箱には、「どう考えればイライラせずに済んだか」を書きます。「地方から上京してきたばかりの運転手さんだったのかもしれない」というように、柔軟な発想で自分に質問を繰り返して価値観を書き換えます。

最後の「事実と思い込みを切り分ける」は、裁判官のように自分に起きたことを客観的に捉え直して、自分の中にある「思い込み」を切り離すテクニックです。たとえば「ぼくは無職だから一生結婚できないだろう」という考えのうち、「無職」は事実、「結婚できない」は思い込みです。

事実と思い込みを切り分けることにより、感情が先走ることをストップできます。感情的になるのは、事実のみを切り分けて整理してからにすればよいのです。

第3章のまとめは、次のようになっています。
□怒りの奥にある「本当の気持ち」と向き合う
□完璧主義を捨てる
□怒る自分を受け入れる
□ポジティブな解釈をしてみる
□2つの軸で怒りを整理する
□他人の評価を耳に入れない
□怒りを成長のエネルギーに変える
□過度に他人に期待しない
□「権利・欲求・義務」を分ける
□自分ルールを見直す

この章の冒頭では、「怒りの奥にある一次感情に気づく」というテクニックが出てきます。怒りとは二次感情であり、その手前には原因となる一次感情があるという考え方です。どんな一次感情が自分の怒りを引き起こしているのかを知ることで、怒りをコントロールしようというものです。

ここで著者自身のエピソードが紹介されます。著者はあるパソコンメーカーから、お客様のクレームについて相談を受けたのですが、故障したパソコンを修理したのにお客様の怒りが収まらないとのことでした。

著者がお客様の言葉をよくよく聞いてみると、「パソコンが壊れたせいで恥をかいた」ということが怒りの裏側にあることがわかりました。つまりお客様の一次感情は「恥をかいてつらかった」であって、メーカー側はそこを理解する必要があったわけです。

著者はこう言っています。「怒りを感じたとき、また相手を怒らせてしまったときに大切なのは、『怒りの奥にある一次感情は何か』を探ることです」。つまり、怒りそのものに対処するのではなく、一次感情に対処し、解決に導くほうが効果的だということです。

次の「完璧主義を捨てる」は、怒りのハードルを下げる方法です。理想が高すぎるほど怒りを感じやすくなり、完璧主義は自分も周りも苦しめるからです。さらに完璧主義のまずい点は、理想の姿を他人にも求めてしまうところにあります。

「怒る自分を受け入れる」というのもアンガーマネジメントの一面です。アンガーマネジメントは「怒ってはいけない」「怒らないようにする」方法論ではなく、怒りの感情をコントロールして自分も周りも幸せにすることですから、怒ってしまったなら、それをすなおに受け入れることが大切です。

そして、世の中には「怒った方がよいこと」があります。理不尽なことに対しては怒る方が自然です。このとき、怒るべきかどうかの判断基準は、「後悔するかどうか」です。怒りを我慢して後悔するようなら、怒った方がいいということです。

この章の最後の「自分ルールを見直す」は、先ほどの「べきの書き換え」の応用編です。自分が「世間の常識」と思っていることは、もしかすると「自分ルール」なのではないかと疑い、むやみに相手に押しつけないようにしなければなりません。

第4章は「上手な怒り方」です。ここでは7つのルールが紹介されています。
□リクエストを具体的に伝える
□「私」を主語にして「I(アイ)」メッセージで伝える
□過去の話を持ち出さない
□程度言葉を使わず、6W3Hで具体的に伝える
□未来の改善策をリクエストする
□低いトーンでゆっくり話す
□その時々で言うことを変えない

前章で時には怒ったほうがいいという提案がありましたが、本章はそれを受けて相手に自分の希望が伝わる怒り方をコーチしていきます。上記のまとめにあるのは、そのためのエッセンスです。

これができるようになれば、怒りをコントロールすることに留まらず、周囲と上手にコミュニケーションがとれる人になることでしょう。

本書は全4章で構成されていますが、最後に「付録」がついています。タイトルは「実生活に役立てるアンガーマネジメント」です。その見出しを抜き出してみます。
・実践0 アンガーマネジメントは実践しなければ意味がない
・実践1 公共の場のトラブルに関わらないという選択を考える
・実践2 ロードレイジの被害者にも加害者にもならないために
・実践3 インターネット・SNSとは適度な距離を取る。やめてもいい
・実践4 パワハラをしない・されないために
・実践5 しつこいクレーマーは、手を引くラインを決めておく
・実践6 健全なパートナー関係について学びわかり合う努力をする
・実践7 「自分の人生」と「子どもの人生」を切り離す

「おわりに」で著者は「心を整えるとチャンスが巡ってくる」と言っています。アンガーマネジメントは、まるでゲームの難易度を下げたように人生をイージーモードにしてくれて、OSをバージョンアップしたパソコンのように生き方が楽になるといいます。

「自分は怒りっぽい」と感じている人だけでなく、人生をもっともっとより良く生きたいと願っているすべての人におすすめしたい本です。


 

EC仙人のダメ出し!道場

 

有限会社スタイル・イー

有限会社スタイル・イー
代表:太田哲生
http://www.style-e.com/

市街地で普通に暮らしていて、人間以外で目にする生き物で最も多いものはなんでしょうか?

ペットの犬や猫? スズメ? カラス?

いえいえ、圧倒的に多い生き物と言えば…虫! ですね!

蚊やハエ、街灯や自販機の灯りに集まる多くの虫、家の中に出現すると正に虫酸の走るゴキブリ、窓から侵入してくるカメムシやカナブンなど、その数も種類も圧倒的ですよね。
少し郊外の山林や田畑、草原や河川敷などに行けば、もっともっと見たことのないような虫が山ほどいます!

町で普通に暮らす人間にとっては、たとえミツバチやナナホシテントウのような益虫や役に立つ虫であっても、あまり出会いたくない存在になっています。

皆さんは「虫」、お好きですか?(^^;)
最近は昔に比べ、虫は苦手! という方が増えたような気がしますが、私は田舎育ちなので、子供の頃は、虫取り網と虫かごを持って、野原に蝶々やトンボ、セミやクワガタ、カブト虫などをしょっちゅう獲りに行っていました。

今でも、スズメバチやアブ、蚊など、刺したり血を吸ったりする虫でなければ、それほど苦手ではありません。

それでも大人になってからはすっかり虫離れ。あえて捕まえて飼おうとか観察しようとか思わなくなってしまいました。

最近は孫達と外で遊ぶ機会が増えて来たので、また虫達を意識してよく観察するようになってきました。

自然界においては虫達は植物と共存し、相互に繁殖を支え合ったり、他の生き物の死骸を食べて分解し、土に返したり、カエルやヘビ、ネズミや小動物、鳥、魚などのエサ・食料となったり、その死骸はまた植物たちの肥料となったりと、自然の営みの中では不可欠で重要な存在ですよね。

最近では「昆虫食」と称して、人口増加のため食糧難に備えてコオロギなどを養殖して食品に加工するなども研究開発されていますが、人間が直接食べる以外にも、高栄養の家畜飼料としてや、特定の栄養成分や色素や香料などの原料に用いられたりもするようです。

例えば、食品によく使われる赤い着色をするコチニール色素がカイガラムシという虫から作られているのは有名ですね。

また虫の触角を匂いセンサーとしてロボットやドローンに組み込んだり、AIに情報を与えるセンサーとしてアナログ→デジタルへの変換器のような用途への研究なども進んできているようです。

蛾の触角の匂い感度は、数km先の匂いを検知できたり、東京ドーム1杯の大量の水に匂い成分を1滴垂らしても感知できるほどの高感度センサーなのだとか。人工的なセンサーより圧倒的に優秀なようです。

遺伝子操作の技術と組み合わせることで、いろいろな種類の匂いに反応するセンサーに変えることもできているようです。

また昆虫の脳の神経細胞は、人間の100万~1000万分の1しかないそうですが、それでも視覚や触覚、嗅覚で感じたことをしっかりと状況判断して、他の仲間がしていることを学習し、自分も同じことができるようになったりするくらいの知能はあるそうです。

その他、虫の持つ免疫力や、さまざまな食べ物を分解する腸内細菌、虫の持つ毒成分の薬への応用や、化学成分を合成したり、小さな体で敵を殺すほどの熱を発生させたりする能力、飛翔したり高く飛び跳ねたりする強靭な筋力や長距離を移動できる体力(エネルギー効率)なども研究対象として注目されているようです。

人間から見れば下等な生物に見える虫達は、実は驚異的な能力や生存力や繁殖力を持つ強力な生き物なんですよね。

最近の都会のマンション育ちの子供たちはあまり虫達に接する機会もなく育つので、「虫!? ギャーっ!」と極端な苦手意識を持つ若い人が多くなった気がしますが、たまには郊外に出かけて野山の虫を観察したり、せめて昆虫館などに行って虫たちのことを知ってみるのも良いのではないでしょうか。

さて、今回のお店は、虫好き、昆虫標本コレクターの間では有名な、昆虫標本箱(通称ドイツ箱)のメーカーの直販店です! でも、この会社、実は標本箱だけではないようですよ!

ダメ出し!依頼ショップ
株式会社ティーウッド

ショップ名 :
ティーウッドさん

サイトURL:
https://t-wood.ocnk.net/

ショップの現状、お悩みの点など

商品写真の入れ替えやクレジット決済、paypay決済導入後売り上げアップしましたが、購入者グラフで購入者離れが気になります。
さらに良いショップにしたいのでアドバイスいただければ嬉しいです。

第一印象:店名、看板も無く…昆虫箱もあれば着物箱も?

トップページ、最上部の「昆虫館・博物館・全国の昆虫愛好家様への納品実績が品質を証明します」と中央の横スクロールのバナー画像から、なんとなく昆虫を飾る箱の専門店さんかなー? 程度には見えるのですが…

店舗名やメインキャッチコピーの入った看板画像もないので、どこのどんな店主や会社がやっているお店なのかがイマイチ伝わってきません。(メーカーなのか小売店なのかもわからない…)

後ほどのインタビューでお聞きした会社の強みや特長のほんの一部しか、ファーストビューでは感じられず、今一度、初見のお客様にまずは何を伝えたいのか? 知って欲しいのか? を整理して掲載して欲しいところです。

私は、看板もないことから、自社サイトの「カート機能」と割り切っておちゃのこネットを使っているのかな、と見えました。

インタビューで浮き彫りになったこと

ティーウッドさんは岡山県の中央部、久米郡美咲町にあり、昭和48年(1973年)創業の高橋木工という家具製作の会社が前身で、今でもオーダーメイドの作り込み家具の事業を中心に、住宅リフォームやキャンピングカーの居室(キャンパーシェル)の製作などもなさっています。

昭和55年からは、昆虫関連商品を扱う大手問屋さんとのご縁で、通称「ドイツ箱」と呼ばれる昆虫標本箱を製造卸売りするメーカーとしても事業展開され、現在では昆虫標本コレクターの間では誰もが知る一流メーカーさんのようです。

「ドイツ箱」はドイツ式の昆虫標本箱というのが元のようですが、標本は1年、2年などの短期間ではなく、何十年もの保管・展示が求められるため、湿気、害虫やカビ、ホコリなどの侵入を防ぐ気密性、精密性と内部の湿度を一定に保つ性能が求められるそうです。

世界的に見ても、四季の寒暖差があり、湿度が高く、標本がカビたり、標本を食べてしまう害虫の侵入のリスクも高い日本の気候・環境においては、ドイツ・ヨーロッパなど乾燥した環境よりもより気密性や湿度を保つ性能の高い標本箱が求められ、日本の標本箱のクオリティは世界でもトップクラスの品質だそうで、海外からも高い評価を受けて買い求められているそうです。
日本には他にも標本箱メーカーさんはあるようですが、ウッドテックさんの標本箱は唯一の自社工場での製造で国内外の博物館、昆虫館、コレクター達に信頼・愛用されている逸品のようです。

店長の高橋利枝さんは現社長の娘さんで、創業者のお孫さん。
2018年に医療系のお仕事からティーウッドさんに転職。
ネット全般の責任者兼、マーケティングや広報、新商品の開発に加え、別事業で飲食店の経営、運営と、一人で何役ものお仕事を精力的に手掛けていらっしゃるようです。

見方を変えれば、ティーウッドさんは木工の職人でもある社長(お父様)と職人仲間の技術を中心に成り立っている会社で、マーケティングや新規営業は得意ではない「モノ作り」の会社。

職人・技術者ならではの社長のコダワリや頑固さとぶつかり合いながらも、ティーウッドの持つ強みや特長を生かした商品・サービスを岡山の地から全国~世界へと発信しようと日々お忙しく頑張っておられる利枝店長さんです。

ネットではおちゃのこショップの他に
・自社サイト(https://t-wood.jp/
・Instagram(https://www.instagram.com/t_wood_takahashi/
・Facebook(https://www.facebook.com/profile.php?id=100054237950999
で情報発信中。

その他東京ギフトショーや大阪ギフトショーへの出展など、リアルでの市場開拓や、現在は新商品の「ランドセルチェア」を広めようと地方イベントへの出店やクラウドファンディングなども計画中だとか。
(ランドセルチェア:小学校卒業後の思い出のランドセルを親子でリメイクDIYして折り畳みの木製椅子にする商品だそうです)

------------------------------
ネット戦略的には自社サイトが中心で、おちゃのこネット店は会社を代表する商品である「ドイツ箱(昆虫標本箱)」を直販することを目的に2010年に始めましたが、昆虫標本箱だけでなく、その精密な木箱の製造技術を活かした「きもの収納箱(美咲箱)」や木のおもちゃ、プリザーブドフラワーや美しい蝶を収納し、インテリアとしての商品なども陳列・販売されておられます。

メーカーとしての電子カタログ的な位置づけなのか…
小売販売ショップの売り場の位置づけなのか…
そのあたりがやや曖昧になっているようです。

具体的なダメ出し&改善策

主力のドイツ型標本箱ですが、K型・N型・T型などいくつかの種類があったり、サイズも塗装も何種類かあるようですが…
https://t-wood.ocnk.net/product-list/13
特殊標本箱
https://t-wood.ocnk.net/product-list/25

商品カテゴリーの一覧を見ても、種類、塗り、個数、UVフィルム貼りなどいろいろな要素の違いのあるものがごっちゃに一覧されているために、初心者には違いや特長の差がなかなかわかりません。

K型・N型・T型とは? 何が違う? などの説明も見当たりません。

まずは、型の違い、大きさの違い、塗りの違い、その他機能や仕様の違いなど、分類や種類の違いと特徴と価格が一覧できる表をフリーページで作って、そこから各商品ページに誘導するようなナビゲーション(店内導線)を作られるのが良いかと思います。

特殊標本箱は別カテゴリーにされていますが…
一覧性が悪いので、一覧ページの中で分類整理される方が分かりやすいのではないでしょうか。

初心者、初めての方でもわかるように! を意識して分類してみてください。

------------------------------
商品カテゴリーには、収納庫、飾り棚、収納棚、と並列に家具・木製品や美咲箱(着物収納箱)があるために、「収納庫、飾り棚、収納棚」は昆虫用ではなく、家具としての収納庫や棚なのかな? とも見えます。

全体としてまず「A:昆虫標本用の商品」と「B:それ以外の商品」をそれぞれの下に

A:昆虫標本用ドイツ箱、収納庫、飾り棚、収納棚
B:美咲箱、木製品、木のおもちゃなど

のように分類すると、木製品メーカーとして昆虫関連とそれ以外も製造販売している点が分かりやすく伝わると思います。

また今後、ランドセルチェアやその他家具製品、キャンパーシェルなどを掲載・販売されても、違和感なくわかりやすいと思います。

------------------------------
商品写真の解像度、精度
標本箱の溝や細部の構造、表面の質感など、実物を手に取って目の前15~20cmくらいで見ているくらいの解像度・大きさの詳細を確認できる写真が欲しいところです。

既にティーウッドのドイツ箱を持っている人には今の写真で分かっても、実物を見たことのない、触ったことのない人には今の写真だけで数万円もする買い物の決断はなかなかできません。

通販では写真は命です。妥協せず高画質な物を掲載しましょう。

できることならば、艶感や質感、ガラスなどの光沢感を感じさせるように数秒でも構いませんので動画でクルっと回しながら角度を変えて見せるような工夫もあるとなお良いでしょう。

------------------------------
会社の紹介(何ができるのか? 私たちにできること!)

ティーウッドさんの会社もブランドも知らない方、知ったばかりの初心者さん向けに、「私たちティーウッドとは」のような自己紹介コンテンツもぜひ用意して欲しいです。どこの、どんな会社でどんな経営者やスタッフ達で何をしているのか?(どんな工場でどんな風にモノ作りしているのかなど)
そして、現状の掲載商品以外にもどんなことができるのか? オーダー家具製造や住宅や店舗の作り込み家具やリフォーム、キャンパーシェルなど、既製品以外の相談もできるのか? 法人でも個人でも新規の問い合わせや相談を歓迎するのか否か? など会社のフットワークやスタンスを明記しておくと引き合いが来やすくなります。(海外に向けて、英語表記ページもあるとなお良し)

製造業、メーカーさんには個人への販売や商談はお断りというところも多いですので、歓迎ならば明記しておきましょう。

またその逆で「オンラインショップは個人向け」と思い込んで見てしまったり、メーカー直営とは思わず単なる小売店に見えていると、法人のバイヤーや商品企画担当者からの相談が来にくいことになっていたりします。
「法人バイヤーさん、商品企画担当者さん歓迎!」とか、「卸売り、OEM製造します!」などの明記はBtoBには重要です。

また、「マスコミ、メディアの方、取材歓迎」なども書いておくと、取材や相談を受けやすくなります。

気難しい敷居の高い職人系メーカーと思われない、どんなことでも相談しやすいメーカー という印象を意識して発信しましょう。

50点
総評

ティーウッドさんの「昆虫標本箱」における品質や実績は「一流」だと思います。メーカーとして商品の種類や違い、特徴を分かりやすく整理して掲載することを今一度見直しましょう。

それを軸にしつつ、商品そのものだけでなく、「ティーウッドは何ができる会社なのか?」という本質を今一度社内でブレストしてリストアップし、1枚にまとめたページをしっかりと作り込んでいかれると、「単にカートで標本箱が売れる」だけではないいろいろなビジネスチャンスが広がっていくと思います。

オンラインショップサイトにおいても、単なる小売店ではない「モノ作りできるメーカーさん直営ショップ」は、お客さまや市場からの問い合わせや意見を吸い上げて、今後の商品やビジネスに生かすことができるのでとても有利です。

自社サイト、SNSとおちゃのこ店をぜひうまく組み合わせて、トータルでのビジネスの向上に生かしてください。

利枝店長お一人でのネット活動は孤独で労力的にも大変だと思いますが、うまく社内を巻き込んで、啓蒙しながら頑張ってください。

相談役(応援団)が必要な際はお気軽にお声がけください(^^;)

------------------------------
SNS活用について
現在のInstagram アカウントでの投稿の質を高めてリール動画を増やし、写真投稿もハッシュタグを増やす一方で、モニター募集や標本箱の活用案募集など市場とのコミュニケーションにも使えると思います。

ティーウッドさんの標本箱の精密さや保存性の高さを示すような実験やデモを撮影して発信するなど、技術力アピールももっともっとできるでしょう。

新たな活路を見出す大きな武器となるはずです。

余裕があれば、X、Facebook、Youtube にも投稿していきましょう。

------------------------------
その他具体案、具体策でお悩みの場合はまたお気軽にご相談ください。

以上。「ダメ出し!道場」でした!

──────────────────────────────

国際紛争や情勢不安による円安物価高、資源高、エネルギーコスト高などで逆風の強い時代ですが、マイナスムードに負けず、「ピンチはチャンス!」と思い、新しいアイデアと新商品、新サービスを開発して乗り越えましょう!

差別化するアイデア出し、商品企画、ジリ貧回避、マンネリ化打破など、アイデアに行き詰まった際はぜひお気軽にご相談ください!
きっとヒントを見つけられます!
↓↓↓↓↓

EC仙人太田のプチコンサル始めます!
ここで、商品企画へのアイデアとヒントです!

毎回「ダメ出し!道場」登場のお店に電話でインタビューをさせていただいていますが、軽くインタビューと言いながら、実際には事前にお店のサイトを1~2時間かけてじっくり拝見し、お客様目線、プロ目線の両方から疑問点、気づいた点を洗い出してからお電話させていただいています。

最初はこちらからいろいろとご質問をさせていただき(インタビュー)ますが、後半はお店からのご質問、ご相談を受け、回答やアドバイス、アイデア、事例紹介など(プチコンサルティング)させていただいています。過去平均すると1店舗様に1時間半~2時間程度はかけています。

そのためか、インタビューさせていただいたお店の方々からは、下記のような感謝や喜びのお言葉を多くいただいています!

◆「目からウロコが落ちた! たくさん気づきがあった!」

◆「自身が気づいていなかった強みや特徴を見つけてもらった!」

◆「ただのインタビューかと思ったら、こんなにヒントやアドバイスを貰えるなんて思わなかった! ありがとうございました!」

◆「新商品のアイデアまで出してもらえるとは! ワクワクしました!」

◆「課題がハッキリと浮き彫りになり、やるべきことが整理できた!」

◆「問題はホームページだけじゃないってことが、嫌というほどわかった!」

そこで、「ダメ出し!道場」に登場するのはちょっと勇気がないけれど、太田の電話インタビュー&プチコンサル は受けてみたい! というお店のために、有償でお受けしたいと思います!

通常 個別相談会:2万5000円のところ、メルマガ購読者限定で

1時間 11,000円(税込)
(延長可、10分 1500円)


にて電話インタビュー&プチコンサルをさせていただきたいと思います!
サブスクリプションではない1回価格ですので、ご安心ください(笑)

先着順にて受付させていただきます。(週に2店舗程度・状況に応じて)
待ちが多い場合はご連絡させていただきます。

下記内容をご記入の上で太田まで直接メールください。
───────────────────────────
宛先 jackandjon@gmail.com
メールの件名】:「ダメ出し!道場」見ました。プチコンサル希望。
↑↑↑↑↑
(件名で自動振り分けしていますので確実にコピペしてください)

内容:
【店舗名】:
【店舗URL】:
【ご氏名】:
【電話番号】:営業時間外でも連絡のつく携帯電話
【メールやLINE、Messengerなど気づきやすい連絡手段】:
【自店の特徴・強み・弱み】:
【相談したい点、見てほしい点、悩んでいる点など】:
───────────────────────────
以上、皆さまからのご相談・お申込みお待ちしております!



ダメ出し道場登場ショップ募集中
申し込みはこちら

さて…
オンラインショップの本質は表のホームページからだけでは見えない接客や、梱包、配送、そして商品そのもの等、「裏」の強みや弱み、そして個別の事情によるのが当たり前です。
実際に、「売れる・儲かる」という部分は、実はこの見えないところにこそ本質的な秘密や課題があるものです。
この「ダメ出し!道場」の企画は、公開という性質上、あくまで表から見たお店の印象や、そこから類推できる範囲の改善点をお客様目線でご指摘するものですので、ご理解ください。

もっと突っ込んで、あなたのお店の事情や商品、人事、資金などの問題点や課題を「洗い出したい!」「解決したい!」「強みを作りたい!」という店舗さんは、個別にご相談をお受けいたしますので、「ダメ出し!道場見ました!」の件名にてメールにて直接お気軽にご連絡くださいませ( info@style-e.com 太田まで)。


このコーナーでは、テンプレートのカスタマイズについて、実際のサンプルページを元に紹介していきます。

皆さん、こんにちは。おちゃのこネットの刑部です。

今回のデザイン道場は、商品詳細ページのメイン画像下に表示されるサムネイル画像をスクロール表示する方法をご紹介します。






スタイルシートを編集する

デザイン管理→スタイルシートの編集から下記の指定をコピーして貼り付けてください。


.responsive .itemdetail .thumbnail {
width: 100%;
overflow-x: scroll;
scrollbar-color: #E0DFE3 #FFFFFF;
scrollbar-width: thin;
}

.responsive .itemdetail .thumbnail > ul {
width: max-content;
}

@media screen and (min-width: 500px) {
.responsive .itemdetail .thumbnail {
overflow-x: visible;
}
.responsive .itemdetail .thumbnail > ul {
width: auto;
}
}

 

なお、お問い合わせは下記ページからお願い致します。

https://www.ocnk.net/contact/index.php

編集後記

下松市に取材に出かけたので、ついでに岩国の錦帯橋を見てきました。いつか行きたいと思っていてなかなか行けなかった場所です。取材という強制的な移動があったからこその思わぬ観光でした。
(おちゃのこ山崎)

■おちゃのこネットのご利用方法については、よくあるご質問も参照ください。(https://www.ocnk.net/faq/
また、マニュアルもご用意しております。(https://www.ocnk.net/webmanual/

■おちゃのこネット公式ブログ
https://blog.ocnk.net/blog/

■おちゃのこネットFacebook
https://www.facebook.com/ocnk.net

■おちゃのこネット公式twitter
https://twitter.com/ocnknet

■ネットショップにお役立ち。弊社は下記のサービスも提供しています。
【おちゃのこさいさい】https://www.ocnk.me/
【オートステップメール】https://www.autostepmail.com/

■受信の停止は、最末尾のURLをクリックしてください。

■お問い合わせ
ご質問・ご意見・ご感想等のある方は下記フォームからお願い致します。(https://www.ocnk.net/contact/index.php

■個人情報の取り扱いについてはプライバシーポリシーをご覧ください。(https://www.ocnk.net/company/privacy.php

発行:おちゃのこネット株式会社

お手軽ネットショップ開設・開業、ネットショップ作成

〒651-0096 神戸市中央区雲井通7-1-1 ミント神戸14F

mail:info@ocnk.net

Copyright (C) 2004-2024 OCHANOKO-NET All Rights Reserved.