「やまさん」こと、おちゃのこ山崎です。

ネットショップのみなさまも同じように感じておられるかもしれませんが、何歳になっても勉強しなければならないというのは、まことにしんどいことですね。
10年1日のごとく、同じジャンルを同じペースで掘り続ける仕事なら勉強しなくてもいいのかもしれませんが、ITに関係する仕事は日々これ勉強です。新しい知識をどんどん吸収して消化していかないことには、生き残れませんから。
ライター仲間の中には、こんなぼやきを口にする者もいます。
「あーあ、勉強しなくてすむと思ってこの仕事を選んだのになあ」
彼はゲームの世界からITライターの道に入ったのでした。今はMIDやらスマートフォンやらネットブックやらを追いかけています。
どうやら、神様はなかなか甘い顔を見せてはくれないようです。

日本人にはもう売るな！ネットで世界進出する方法

菅谷義博 著　PHP新書

798円 (税込)

なかなか過激なタイトルですが、サブタイトルをよく見ると、ネットショップで世界進出をせよと勧めている本であることがわかります。最近は出版界もタイトルに凝らないと手に取ってもらえないため、かなりあざといタイトルをつけるようになりました。そうやって「刺激」でものを売る方法は、あまり幸せな結末を招かないと思うのですが、業界全体がやっているのだから、仕方がないのかもしれません。

本書は、第1章で「もう日本市場には魅力がない」と説き、第2章で海外に販路を求めて成功した例を示し、半分以上の分量を占める第3章で「ネットで世界進出」するためのノウハウを解説しています。個人的には第3章だけで1冊にしてもよかったのではないかという気がします。

著者はプログラマー出身でコンサルタント経験のある会社経営者。彼の会社「モジ」は、海外向けEコマース構築サイト「モジコマース」を提供しています。つまり、自社にお客さんを呼び込むための著書でもあるわけですね。おちゃのこネットには英語表記機能と150もの通貨対応機能があるので、このメルマガをお読みのみなさんには関係のない話ですが。

しかし、ネットショップの利点を生かして海外展開をするというのは心ときめく冒険です。本書に掲載されているヒントを参考に、戦略を練ってみるのもおもしろいと思います。韓国のナンバー1検索エンジン「ネイバー」や、ロシアのナンバー1検索エンジン「ヤンデックス」についての話も載っています。

日本人が海外展開に尻込みする理由は、語学と集金、そして発送の3つでしょう。それらがクリアされたら、あとは有望な市場を探して、集客の方法を考えて、行動を起こすだけかもしれません。本書にはその3つをクリアする方法が解説されています。

もちろん、これだけで海外展開がうまくいくわけではありません。でも、じり貧の国内市場で激戦を続けるよりも、もしかすると成功率が高いかもしれません。その国でどんなものが受けるのか、調べる方法があるなら調べてみたいですよね。本書にはそれが少しだけ載っています。

著者は世界進出には6つのステップがあると主張しています。
・ステップ1　海外のニーズをつかむ　→　専用サイトを利用
・ステップ2　実際に売れるかテスト　→　オークションを利用
・ステップ3　検索エンジンに広告を出して展開　→　アドワーズ等を利用
・ステップ4　多言語での顧客対応　→　在宅主婦を起用
・ステップ5　海外との金銭のやりとり　→　ペイパルを利用
・ステップ6　海外への配送　→　EMSを利用

あーあ、こんなに中身を紹介したら、著者に怒られちゃうかなあ。