木の紙

プリンターで印刷できる「木の紙」を製造直売

株式会社クレコ・ラボは2008年創業のクリエイティブ系カンパニー。クリエイティブ制作事業や商品企画・開発、コンサルティング事業、商品製造・販売事業などを幅広く展開しています。全国出張撮影サービスには、ストリートビューや360°パノラマも含まれ、それらを生かしたWeb制作も得意です。商品としては厚さ0.1mm以下にスライスした木材に紙を貼り合わせて作る「木の紙」がオンリーワン商材として異彩を放っており、遠く海外からも引き合いがあります。「木の紙」の商品はおちゃのこネットのサイトで販売中ですが、そのあたりのお話を代表取締役の興津世禄(おきつ・せいろく)さんに伺いました。

木の紙

会社としての事業が幅広いですね。

幅広いようですが、“アナログな要素”を根本に据えているという部分は全部の商品・サービスに共通しています。
例えばWEBサイトや動画などのデジタルコンテンツの制作でも、中心は撮影業務(アナログ業務)を強みとしていて、取り扱い商品においても製造工程で手作業(アナログ作業)の部分にノウハウがある「木の紙」がメインです。
「木の紙」は、木なのに紙のように扱える素材で、みなさんがお持ちのプリンターで簡単に印刷ができるように加工してあります。ハサミやカッターで自由に切ることもできます。

もともとの会社立ち上げの経緯として、「日本の重要な資源である国産木材を有効に活用した商材を作りたい」という発想があって、そのためにはクリエイティブの力が必要だということで、デザイナーやカメラマンとコラボするようになりました。そちらを強化していったら、デザインを入口とする仕事(特に最近は撮影を入口とする仕事)が多くなっていったという経緯です。

「木の紙」というのは、木材を薄くスライスしたものですか?

木材を0.1mm以下の厚さにスライスして、裏に紙を貼り、プレスをかけています。あまりにニッチすぎる商品のせいなのか、今までに真似しようとする人は出てきませんでした。最近は数年前に比べてニーズが増えてきていますが、印刷物をあまり大量に刷らないようになってきたため、素材で特徴を出そうという流れが生まれてきたのではないでしょうか。

印刷も二極分化の傾向があって、ネット印刷のように少しでも安く印刷したいという需要と、私たちの商材のようなものを使って高級感を出そうという路線に分かれてきたような気がします。

一般的に「木」は高級なものの代名詞という印象があると思います。クリエイターの方々が「何か木を使ったものは作れないか」ということで、私たちを探し当てられるケースが増えているようで、少しずつ伸びている感じです。

ただ、潜在需要に対してはまだ1%も認知されていないと思うので、認知度を高めることが何よりも必要です。展示会とかには出るようにしているのですが、まだ印刷会社も紙屋さんもほとんど知らない素材です。

木の紙
木の紙

素材の木材にはいろいろな種類があるんですね。

産地や木材の種類はいろいろあります。たとえば東北産の赤松は震災の後から使っていますが、これは被災された加工場から仕入れています。
お客様から素材を持ち込まれることもあって、その場合はこちらで仕様をお知らせし、それに合わせてもらっています。基本的に、杉や檜ならたいてい対応できます。そのほか、森林整備で出た桜なども材料に使っています。

ネットショップはおちゃのこネットを利用されています。

はい。契約したときからおちゃのこネットオンリーです。最初は自社でECサイトを作って運営していたのですが、決済の手段や管理が大変なので、おちゃのこさんになりました。

ドメイン名は「木の名刺(kinomeishi.com)」なのですが、一番の売れ筋はプリンターにかけられるA4サイズの素材です。名刺もトップ3に入る商材ではありますよ。
A4サイズの「木の紙」は、年賀状用に買っていく人もいますし、飲食店さんでは焼肉用の「肉札」の素材にしたり、お品書きにしたりされているようです。

用途さえ見つかれば、もっと売上が伸ばせるだろうと、私たちも提案のためにモビールやクラフトなどをサイトでお見せしています。
そのほか、「木の紙」を使った壁紙も注目されています。まだ開発中の部分もありますが、自由にハサミやカッターで切れて、通常の壁紙の上から貼ることができるので、賃貸住宅にお住まいの人でも木のインテリアが楽しめるのではないかと思っています。簡単にはがせるので、引っ越しのときにも便利です。

それらの用途提案には、どうしてもデザインの力が必要になってきます。社内のデザイナーだけでなく、必要に応じて外部のデザイナーさんにもお手伝いしてもらっています。

デザイナーさんが考えた商品の中には、スナップボタンでパチンパチンと留めていって平面から立体に組み立てて完成する知育玩具(木の紙スナップ)もあります。

木の紙

お客様は個人の方が多いですか?

いえ、基本的には法人向けが多くなっています。ただし個人ユーザーももちろん大事で、個人ユーザーに評価してもらうことによって、結果としてB to B取引のきっかけになると考えています。

ネットショップは何人くらいで?

少人数でそれぞれ分担を持って運営しています。デザイン担当、注文対応、商品担当といった感じです。

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シーズンで売上の変動はありますか?

年賀状需要があるので、年末のほうが確かに売上はありますが、最近はあまり季節変動は大きくなくなりました。年賀状は確かに季節商品ですが、名刺は季節は関係ありません。また、法人需要になると挨拶状とかが年中あります。

お客様の属性は?

法人の担当者は男性が多いと思います。年齢はネットユーザーなので30〜40代が多いですね。その上の年齢層の人は、もしかすると興味はあるのに注文できないでいるのかもしれません。だとすると面と向かった対応のできる実店舗があったほうがいいのでしょうね。アンテナショップか、どこか受付だけでもやってくれるお店を見つけようと考えています。
興味を持っていただいたお客様の中には、必ず「素材を見たい」「どのくらいの品質でプリントできるのか確かめたい」「色味を確認したい」と言ってくださる方が一定数おられます。

木の紙
木の紙

ネットショップとして力を入れていることは?

ネット販売がメインなので、しっかり見せることに力を入れています。また、SNSからしっかり引っ張ってくることも大事ですね。ネットは名刺と素材の売場に徹して、そこから加工する必要のあるものは、直接打ち合わせなど個別対応になっています。
基本的に軽い素材なので、通販には向いている商材だと思います。海外でも2週間くらい待ってもらえば1,000円程度の輸送コストで届けることができますから。そのために今後は海外市場も開拓したいと思って、英語のページも作ったりしています。

おちゃのこネットの便利なところと不便なところは?

いい点は、もともと持っている決済手段が使いやすいこと。あと、それぞれの機能が比較的まとまっているところですね。
不満なところは、古いテンプレートで作ったページを最新のものにしようとしたとき、移行の方法がよくわからないこと。

木の紙
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今後の展開は?

日本国内でもっと認知度を上げていきたいと思っていますが、海外で火がついてくれればそれを逆輸入するという方法もあるかもしれません。
とにかく潜在ニーズはある商品なので、どう訴求していくかがカギになると考えています。

お陰さまで少しずつ売上は伸びているのですが、次第に大量需要への対応がネックになってきつつあります。そのあたりは今、解決策をテストしているところです。

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※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。