淡路瓦の産地、兵庫県南あわじ市で江戸時代から続く瓦職人を営んでいる清水さん。
職人業のかたわら、瓦の技術を生かして作る、表札・看板プレートなどのネット販売もされています。瓦とネットショップの不思議な関係について、お話を伺いました。
日本三大瓦産地の一つが淡路瓦なんです。淡路島の南あわじ市を中心に多くの瓦が生産され、400年の伝統があります。
私どもも江戸時代より続く瓦屋でしたが、瓦工場は先代で廃業しました。
それから紆余曲折があり、手作りで粘土状の瓦を加工する道具師として2003年に独立、新たに2008年VASARAを立ち上げ、第二創業という形で現在に至っています。
ひと口に瓦といっても、作る仕事、屋根に葺く仕事などさまざまな役割があります。
私は棟に使われる瓦に装飾をほどこしたり、家紋を彫ったり、他の窯元さんの既製品をカスタマイズしたりする部分を担っています。
しかし、道具師や瓦産業の仕事はこれから先細りする可能性が高く、このままではいけないと危機感がありました。
そこで、瓦や道具師の技術を生かしてアートレンガやタイルを作り、お客様に表札・お店の看板プレートに使っていただきたいと考えました。
表札・看板プレートの制作、ネットショップでの販売計画を立案し、その内容を経営革新計画(第二創業)として兵庫県に提出したところ、承認されました。
ショップ名のVASARA は、南北朝時代から価値観が揺れ動くなかで新たな価値、美意識を創造した「ばさら大名」という戦国時代の傾奇者からとり、「伝統を活かしながらも古い価値観に新しい自由な発想を!」という意味を込めてつけました。
一見違うもののようですが、すべて瓦と同じ原料の土でできています。
看板プレートも、3cm角のアルファベットレンガも、瓦作りと同じ工法と新たな焼成方法で作ります。
淡路瓦の原料である土には比較的多く鉄分が含まれていますので、焼成方法によってレンガ色からブラウン、グレーと発色し、特有の風合いや、ちょっとした色の変化などを楽しむことができます。
また、粘土を立体的な文字にヘラで細かく仕上げ、さらに磨きという工程で表面をツルツルにすることで、シャープな影ができます。この影を意識して制作しています。
瓦の魅力でもある光と影のコンストラストを、商品の写真を撮るときも、影が出るような構図を意識して撮影しています。
最初はホームページを作り直接ユーザー様とつながりたかったのですが、さらに物を売るならばネットショップがいいと聞き、友達の紹介もあって「おちゃのこネット」でネットショップを作り始めました。
ホームページを作る知識などまったくなかったのですが、神戸にあるパソコン教室に通い、HTMLの基礎を教えていただきました。
これがよかったです。
おかげで決まったテンプレートの変更だけではなく、自分で変更できる部分が増えました。
例えば、文字を太字にしたり、リンクを貼ったりといったことなのですが、これができるだけで自分のやりたいことができている気がします。
こうして細かく作り込むことでネットショップに愛着ができるので、日々更新するのが楽しみです。
表札などは、何回も買ってもらえる商材ではありません。
最近では、イベントに出展することに力を入れています。
あわせて、ガーデニングやディスプレイ小物として使えそうな商品のラインナップを増やしています。
ネットショップ(ホームページ)で出展情報を告知することで、商品を実際に見たい方は、見に来てもらうことができます。「一目惚れしました!」とおっしゃっていただくことも多々あります。
イベントでショップを知っていただいて、ネットショップで買っていただくことも結構あります。
最近は、手作り品のイベントも増えていますので、意識して出展するようにしています。インスタ映えもするので、特に女性に気に入ってもらっています。
表札などは、オーダーメイドですので、いろいろな受注・お見積もり方法が簡単に細かく設定、またカスタマイズができ、独自のネットショップができるのが魅力ですね。
あとは、クレジットカード決済連携がしっかりしているので、そこも便利に感じています。
「クロネコwebコレクト」を使っていますが、クレジットカード決済が5割ぐらいになっています。
B2(ヤマト運輸の伝票発行システム)との連携も、「おちゃのこオフィス」を使うことで、スムーズです。
1人ですべての作業をおこなっているので、件数の多いときなど、大変助かっています。
今後は、ネットショップとリアルの連携を強めて、どちらでも安心して購入できるショップを目指したいですね。