ディスクノート・ジャズ

カテゴリ:音楽

ディスクノート・ジャズ

決まった常連客しか注文が来ない。もっと幅広く拡大できないでしょうか。

セレンディピティ(serendipity)という言葉を聞いたことがおありでしょうか。10年くらい前から時々目にするようになったこの言葉。意味は(自分にとって)素敵で幸運な偶然に出会うこと。

語源に興味のある方は Wikipedia でどうぞ(笑)
https://bit.ly/3mbd7jQ

私の解釈ですが、すごく大雑把に言えば
「なんか知らんけど、ラッキーな偶然の出会い・発見・気づき」
って感じでしょうか(^^;)
幸運と偶然と発見の掛け算みたいなニュアンスの言葉です。

IT、デジタル、科学など、ロジックや明暗・正否がハッキリ分かれるような時代ですが、リアルの世の中はまだまだアナログで、偶然や運や勘や人々のマインドなど、あいまいな要素で動いています。

景気の「気」も、そういうあいまいで微妙なものですよね。

マーケティング用語にも「セレンディピティ消費」なんて言葉があるそうで、買い物も必ずしも計画的に、最善を考慮して調査し、検索して比較検討し、購入意思決定する! なんて論理的消費を皆がしているわけではありません。

消費者の性格にもよりますが、「衝動買い」「無駄遣い」なんてものは昔からありますし、今でもそれに支えられているお店や会社も多いでしょうし、「福袋」なんて正に偶然の幸運を期待したセレンディピティ消費の典型例かもしれませんね。

リアルでの消費の中にも…シェフのおまかせ、店長セレクト、などに幸運を期待して注文したり、大型書店やCD・レコード店に何か面白そうな本や盤に出会わないかなーと行ってみたり、明確に買いたいものがあるわけでもないのに、ハンズやロフト、ドンキやヴィレバン、大型家電店、百貨店、大型ホームセンターやイオンモールやららぽーとなどに行って、気づいたらあれこれ衝動買いして帰ってきた(汗)なんて経験は皆さんおありでしょう。

コロナで外出が減ってこうした偶然の出会い、セレンディピティ消費が減っているのが景気全体にも影響していると思います。

消費者はなんでもかんでも明確な検索によってだけの購買行動をするわけではない、ということです。

もちろんネット上でも、たまたま広告やシステムからのリコメンド表示を見て知って衝動買いというのもあるでしょうが、リアルなショッピングに比べれば偶然の出会いは少なくなりますよね。

特に大手モールやAmazonなどの大型店に比べて、おちゃのこショップのような小規模な個店では、意図せぬ偶然の出会いは限られてきます。

だからこそ、お店は意識して、お店の奥のほうに眠る目立たない商品にも時々スポットライトを浴びせて、お客様と出会わせてあげてください。

商品数の多いお店ほど、こうした行動は大切です。

さて、本日のお店も、こうした「セレンディピティ消費」が業績に大きく影響しそうな業種のお店です。

今回のお店は今年で40周年を迎えられた仙台の老舗アナログレコード・CD専門店です。JAZZレコードを中心としたアナログ盤は、約1万点を超えるとか…!

検索だけを待っていては、お客様とレアなレコードの幸運な出会いはなかなか訪れません。お店の企画力、提案力でセレンディピティをどう起こせば良いでしょうか…?

それでは ダメ出し道場、始まりです!

第一印象


EC仙人 太田

スマホサイトはレスポンシブ対応じゃなく、ガラケー版の古いタイプでテキストメニューだけで情報も少ないし、PCサイトもやや古めかしい印象。

ファッションやアクセサリー、食品など最新の流行や鮮度をウリにするタイプのお店ではないので、多少古めかしいデザインでも悪くはないですが…

お店の特徴や、強み、キャッチコピーやお客様への姿勢(検索の方法案内やお問合せ大歓迎とか積極買取中!)などは、PCでもスマホサイトでもアピールすべきだと思います。

古き良きJAZZの名盤を扱う専門店であっても、ショップのインターフェースは必要最低限、今のスマホ時代に合ったものに対応して欲しいなぁ。

せっかく、スマホ対応機能のあるおちゃのこネットを使っているのなら尚更! もったいない!

というのが第一印象です。

インタビューで浮き彫りになったこと


EC仙人 太田

今回も、店主の河内さんにお電話でインタビューさせていただきました。ディスクノートはおちゃのこ店オープンが2008年。
14年目のベテラン店舗ですが、実店舗の方は、なんと今年の5月に満40周年を迎えた老舗レコード店だそうです!

店主の河内周二さんは御年75歳の大ベテラン。

今は仙台でディスクノートを経営されていますが、実は東京のご出身で、若いころは東京のレコード会社に勤め、仕事で各地を訪れる中、縁があって北海道は札幌にてレコード店を開業。
好きだったJAZZやロックの洋楽版を中心にした品揃えで、ディスクノートをスタートされたそうです。
5年後、仙台に移転。その後、着実にファン・リピーターを増やし、40年間続けて来られました。
現在は奥様とお二人で実店舗とネット販売を続けられておられます。

実店舗のほうもJAZZ、ROCK の洋楽輸入アナログレコードを中心にはされていますが、実店舗ではJPOP、CDも販売されています。
ネットは「JAZZの専門店」を強みに押して運営されておられます。

実店舗での品揃えは1万枚程度はあるようですが、おちゃのこ店では5000点までの出品制限を拡張して、現在約9000点程の商品登録があるようです。

新品もありますが、中古の一点物も多いので、SOLD OUTになっているものも多いですが、再入荷のリクエストもあるので、削除せず残しているそうです。

この辺りは中古品を扱う店として、「あるある」ですね。

現状(今まで)はとにかく、せっせと商品登録して、説明文を詳しく入力し、来店客が検索して見つけて買ってくれるのをひたすら待つスタイルですが、リピーターさん達からなかなか広がらず、新しい顧客を増やすことに悩んでおられるとのことでした。

SNSはFacebook、twitterを数年前に始めたが、なかなかネタも続かず、ここ2〜3年は更新もできていないとのこと。

具体的なダメ出し…


EC仙人 太田

まずは、PC左メニューの「中古CD最新入荷はこちらから!」「中古LP最新入荷はこちらから!」などがリンク切れしているので修正しましょう。

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お客様のスマホ化に合わせて、できれば携帯サイトは最新のレスポンシブ対応テンプレートに変更して、スマホサイトのトップページでもお店の強みや特徴、オススメなどをちゃんと表示できるようにしましょう。

→具体的な方法は ぜひおちゃのこネットサポートにお問合せしてください。

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CD、レコード店にとっては「店舗内検索」が生命線だと思います。

例)たとえば JAZZの名曲に Take Five(テイクファイブ)という有名な曲がありますが…現状検索してみると…

「TAKE FIVE」か「take five」だと検索結果が11件。
「テイク ファイブ」だと2件。
「テイクファイブ」だと、なんと0件。
「TAKE FIVE」(全角)でも0件。
こんなにも検索結果が違ってきます。

理想としては、できればカタカナ、英語どちらでも検索ヒットするように商品説明文中にも両方記載してほしいですが…

とはいえ、9000商品を更新、見直すのも時間がかかって大変だと思うので、とりあえずは「上手な検索の方法」例を検索窓の側に掲載して、お客様が工夫して検索してもらえるように仕向けていきましょう。
「多分わかるだろう」「きっとやってくれるだろう」はダメです。できるだけ丁寧に親切にガイドしましょう。

この場合だと、曲名やアーティスト名で検索する際は、できるだけ英語表記(半角)で検索すると最大数見つかります。
カタカナ検索の場合は、全角で単語の間は半角スペースを開けて「テイク ファイブ」「マイルス デイビス」のように検索してみてください。

と明記しておくのが良いでしょう。

総評

40年もの長きにわたってJAZZ、ROCKを中心にレコード店を経営されてきて、その知識や聞いてきた楽曲、アーティストの数はハンパない! と思います。

実店舗に伺って会話をすれば、その豊富な知識やご経験の中からいろいろなアーティストや楽曲のエピソードが聞けるでしょうし、趣味や好みを伝えれば、合いそうなアルバム盤を見繕ってオススメしてくださるでしょう。

ダウンロード系の音楽サイトやCD化されてない貴重なアナログLP盤などもいろいろ御存じでしょう。

また、データベース化されていない(ネットで検索しづらい)条件、
…例えば…
映画音楽やミュージカル曲のJAZZ アルバムとか、
クラシックやラテン系のJAZZアレンジ盤とか、
日本の歌手のJAZZカバー盤 なんて変わった切り口での探し方となると、探すほうにかなりの知識が求められます。

こういう少し変わった切り口での提案・オススメなどは、老舗店の店主ならではのノウハウを【強み】として活かしたセレクトができるのではないでしょうか?

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店主が、お客様の好みや考え方や過去の読書歴などを質問して、それに合わせて10冊の本を選んでくれる「1万円選書」というサービスで大人気を博して有名になった北海道の片田舎のいわた書店さんというお店がありますが…

それの JAZZアルバム盤 みたいなサービスが可能ではないでしょうか?

お客様の好きな楽器、今まで聞いた好きなJAZZ アーチストや曲などを聞いて、好みに合いそうな物をセレクトして1万円〜2万円で何枚かまとめてお届けするサービス。

できそうな気がします。

本家のいわた書店さんでは、単に好きな作家や書籍名を聞くだけでなく、「これまでの人生で嬉しかったこと、苦しかったこと」とか「何歳の時の自分が好きですか?」「いちばんしたいことは?」「あなたにとって幸福とは?」など、心や人生観に関するような質問もしながら本を選んでくださるようです。

参考)PRESIDENT Online の記事より
https://president.jp/articles/-/28872?page=1

40年のご経験の中で、お店に来られるお客様達との会話で、そのお客様の好みやタイプ、考え方などをくみ取って、「それならこんなの合うんじゃない? これ聞いてみたら?」というやりとりはきっとたくさんあったかと思います。

そういうアナログなご経験こそ、ディスクノートさんの真の強みではないでしょうか。

「お問い合わせや相談も大歓迎!」とおっしゃる河内さんですから、お客様とコミュニケーションしながら好みに合いそうな盤を選んで「どうだー! このセレクトいいだろー!」とやりとりするのは、とかく、買い物カゴに入れられたものをただ梱包出荷するだけでドライになりがちなオンラインショップ運営も、きっと楽しみややりがいが生まれるのではないでしょうか?

JAZZという音楽は昔からあって古いジャンルかもしれませんが、常に新しいJAZZとファンが生まれ続けているものなので…

若いJAZZビギナーがベテランJAZZ師匠からあれこれ教えてもらって古き良きを知りながら、自分のJAZZ お好みセレクトを作り出していくみたいなところがあると思うんです。

ただ9000枚の盤を陳列して待つだけでなく、ぜひ河内店長の頭と心の中にあるいろいろな切り口でのベストセレクションを、お店の新たな価値として提案・提供することで、新たなお客様がJAZZの名曲、名盤に出会える「セレンディピティ」(幸運なる偶然)をプロデュースなさってみてください!

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また、SNS全盛の現代において、趣味のジャンルのお店としてSNSは必須です。まずは簡単で拡散の期待できる twitter からでもぜひ再開して、珍しいレアな名盤、名曲にスポットライトを浴びせてみてはいかがでしょうか。

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今後の新しい戦略立案などお手伝いが必要な場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

以上、ダメ出し!道場 でした。

あとがき:今回の真夜中の原稿書きのBGMはJAZZ スタンダードの
名曲 Round midnight でした(^^;)
↓↓↓↓↓
https://www.disknote.jp/product-list?keyword=round+midnight&Submit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2

※上記内容は、取材当時の内容の場合があります。最新の情報はショップページ内でご確認ください。