「いんすたばえ」
最近よく聞く言葉です。けっして新種の蝿(ハエ)ではありません(笑)
写真のSNSである Instagram(インスタグラム)に載せたら映えそうなという意味の言葉です。
「このレストラン、インスタ映えするね」
「ここからの景色、めちゃインスタ映えするわぁ〜」
のように使います。
使っている方はなんとなくわかると思いますが、Instagram は写真メインで、しかも写真を簡単に明るく色鮮やかに修正してアップできるのもあって、オシャレでキレイな写真がアップロードされている印象なのです。
よくよく見ていけば、すべてのユーザーがオシャレでセンスある写真を撮ってアップしているわけでは決してないのですが、著名な芸能人や海外セレブなどが自らのオシャレなライフスタイルの一コマをスナップして色鮮やかに加工し、たくさんアップしているのでそんなイメージが定着したのでしょう。
TwitterやFacebookと違って、写真メインでアップでき、コメントや返信などもあまり強要されない気軽なイメージもあって、どちらかというと行動的、活動的ないわゆる「リア充」(リアルが充実している人)感をアピールしたい人たちにウケたのかも知れませんね(^^;)
一昔前なら「店内での撮影は禁止!」が常識だったのですが、最近ではリアルな飲食店や洋服屋、雑貨やインテリアショップなどは「SNSに掲載して口コミしてもらうことで認知度を高め、集客につなぐのが常識」と変化してきました。
とくに、実際にアクティブなお客様に来店行動を取ってほしい実店舗では、「行ってみたい!」と思わすことのできる写真が重要ですので、「インスタ映え」するかどうかは集客力の一つの要素になってきています。
今回のお店は、実店舗も商品も、そんなインスタ映えするオシャレなお店です!
ではダメ出し!道場スタートです!
海外のなんとなくお洒落でなんとなく珍しい物をなんとなく小ぎれいにデザインされたホームページに陳列しておけば、なんとなく売れるんじゃないか…
そんな「なんとなくオンラインショップ」という印象です。
使っている写真や素材が、取り扱っているメーカーのロゴや商品デザインの良さに助けられているため、お店全体のイメージはお洒落で洗練された印象で、ざっと見るだけなら楽しく心地よいのですが…
個々のブランドを良く知っていて、それを探して来店したユーザーならば、これでも買いたくなることもあるかもしれませんが、少なくとも絶対的な認知度があるブランドばかりでもなさそうですし、かといってセレクトしているお店や店主の個性や、お客様が憧れるような主張やライフスタイル提案があるわけでもなく…
個人の趣味の延長で気に入った商品をただただメーカーカタログの情報の焼き直しだけで陳列しているホームページという印象です。
これらの商品を目利きして仕入れてきてお勧めしたい、お店としてのセールストークもほとんど見られず…厳しい言い方ですが「通販ショップ」「小売りのお店」にすらなっていません。
こじゃれたお店 ではあるけれど、「いったい何屋さん?」「何を売りたいの?」
初めてアクセスする多くの人は、そんな印象を受けるのではないでしょうか?
実店舗はショッピングモールにあるようですし、訪れた方もお店全体の印象や接客を通じて商品の魅力をだんだんと感じ、購入される方も多いと思うのですが…
そうした心理の変化を起こさせるようなコンテンツの質も量も、残念ながら不足だと言わざるを得ません。
もったいない…
店内を見ていくと、仕入れ商品ではなくてオリジナリティがあるのは、オーダーメイドであるJewery製作なので、恐らくはこれが事業の中核だと思われるのですが…
トップページ中段右側の大きな「Jewely製作事例」をクリックしても、製作事例写真がずらっと並んでいるだけです。
これはどんなサービスで、誰が作ってくれるのか? 制作者はどんな経歴やどんな実績、成果がある人なのか? また、段取りや手順、価格帯や納期など肝心なことが何も書かれておらず…本当にジュエリー製作を商売としてやりたいのか? 売りたいのか? まったく本気度が感じられません。
売れなくても芸術家、アーティストとして作品や技術を見てほしいのであればそれでも良いのですが…それにしてもプレゼンス、アピールがなさすぎてもったいなく感じます。
まずは、「Jewely製作」について自店、自身の
「強み」と「何ができるのか?」
を書き出して整理したページを1ページ作って、そこから既成デザイン商品の販売とオーダーメイドへのお問い合わせという流れを作ってみられることをお勧めします。
一番の「強み」を疎かにしているのはもったいなさすぎます。
「アッカカッパ ヘアブラシ プロテクションスカルプ No.946」
http://www.webstore-reception.jp/product/119
サブ画像にブラッシングの説明画像が載っていますが、雑誌かパンフレットのスキャン画像でしょうか?
せっかくの大事な情報なのに、拡大しても画質が悪く文字が読めないのは、ストレスにこそなっても背中を押す情報にはなっていません。
また、雑誌などの無断転載ならやめたほうが良いです。
雑誌掲載の紹介はちゃんと紹介として別にまとめておき、商品説明にはちゃんと自店で用意した説明を載せて、お客様の知りたい情報を十分に提供しましょう。
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「bambu:コルクファブリックボウル L」
http://www.webstore-reception.jp/product/208
1枚目と2枚目、3枚目の写真は同じ商品が折り方で形を変えたものなのか? それとも別のサイズのものが写っているのか?
もし前者であれば折りたたみ方で形を変えられる旨の説明が、写真のキャプション(説明文)としてほしいところです。
メーカーが用意した写真やスペック仕様、説明文だけでは、単なる無能な自販機。
お店としてのユーザー目線での使用感や独自の実用写真カットなどがあってこそのセレクトショップの付加価値です。
1万円以上する「小物入れ」をたったこれだけの説明では、なかなか購入に踏み切れないと思います。
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ランキングページ 2位の 天然木:お盆【小】
http://www.webstore-reception.jp/ranking
なぜ何の変哲もない、シンプルな中国製のノーブランドの木の小さなお盆がランキング2位の人気商品なのか? 実店舗での人気なのか?
そうだとしても、そこには何か秘密がありそうですが…
まったく感じられませんし、わかりません。
もう少し、情報や、プッシュしたい部分やこだわりをていねいに作りこみましょう。
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その他、イタリアのヘアブラシやバス用品のACCA KAPPA
香水のCarthusia ドイツや、イギリス、日本のこだわった品質の良いメーカー、ブランドをいろいろ扱っておられますが、ショップ内では単なる分類になっているだけで、個々のブランドを紹介するページが用意されていません。
商品ページの中には概要の書かれているページも見受けられますが、もう少し掘り下げて個々のブランドの紹介ページを作りこみ、その上で店主の言葉でなぜこのブランドを選んだのか? どこに惚れ込んだのか? このブランドの何を知ってほしいのか? 伝えたいのか? プロのセレクトバイヤーとしての思いをお客様に伝えるコンテンツをぜひ用意しましょう!
専門店でものを買うときは、専門店のプロとしてのこだわり、知識や情報の深さ、そして熱意を感じてお客様はお店を見ているのです。
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その他の商品ページにも共通して言えるのは、メーカーやブランドの用意した情報や説明文が大半で、お店の目線やセールストークがないという点です。実店舗に来店されたお客様を接客する際には、きっとなんらかの思いや言葉を伝えておられるはず。その思いのこもった言葉を個々の商品ページに添えていきましょう。
とくに謳っておられるわけではありませんが、オーダーメイドジュエリー以外の商品に関して言えば、貴店は明らかに「セレクトショップ」だと思います。
とくにどこかのブランドだけとか、特定の国の、特定の用途の商品ではなく、いろいろな国のいろいろなメーカー、ブランドのいろいろなジャンルの商品を少数ずつ店主(お店)の好みで選んで、店主の言葉でお勧め提案するのがセレクトショップです。
肝心の「店主の言葉でお勧め提案する」ができていません。
どこに惚れ込んでその商品をセレクトしたのか?
なぜ? どの部分をぜひおすすめしたいのか?
どんな使い方をしてどんなライフスタイルを提案したいのか?
これこそがセレクトショップの醍醐味ではないでしょうか?
実店舗に来られるお客様は、地元で数少ない洗練されたお洒落なお店として貴店を見ているでしょうし、気に入ってリピートして下さるお客様も少なくないかも知れません。
でも、ひとたびインターネット上に出店すれば、言葉の制約はありますが、世界中(日本中)のライバル店と比較検討されてしまいます。
ご当地グルメや産直ならまだしも、オシャレな雑貨やアクセサリーとなればなおさら、東京のオシャレな街の最先端のお店ではなく東広島のお店で買うには、他店にはなかなかない、それなりの動機付けが必要になってきます。
扱うものはオンリーワンでなくとも、セレクトと提案にはオンリーワンの何かが必要です。どんな店主が、どんな意図で、何をオススメし、伝えたいのか?
そこを自らの言葉で熱く語り伝えなければ、実店舗を知らない通販のお客様の心を動かすのは難しいと思います。
貴店のサイトでブランドと商品や品番を知ったら、Googleで検索してより安かったり、より便利でオシャレな都会のお店や楽天やAmazonなどで買うかも知れません。
ポイントで囲い込まれる楽天や何でも短納期で届く便利なAmazon以外の個店のネットショップでものを買う客層には、それなりの理由や買い物行為自体に店主との会話や、ウンチク、知識欲などの楽しみがあるのです。
単なる購買欲、便利さ、安さ以外の部分でなんらかの付加価値を提供できるかどうかが、おちゃのこショップをはじめとしたネットの個店には求められているのだと思います。
自店の「強み」と「何ができるか?」を洗い出して、今後の戦略や新商品、新サービスを生み出すお手伝いが必要な際は、ぜひお気軽にご相談ください。(^-^)
毎日売り上げがあるウェブサイトを作りたい