オススメ参考書~読んだら即実践してみよう!

企画書は、手描き1枚

高橋宣行 著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 刊

1,575円 (税込)

出版社のディスカヴァー・トゥエンティワンは、取次店を通さずに約4000の書店と直接取引をする出版社。勝間和代を世に出した版元としても知られ、干場弓子社長はツイッターで積極的に情報発信するなど、ネットを最大限に利用しています。出版不況の中で異彩を放つ出版社です。

本書は元博報堂制作部長によるユニークな企画書の作り方指南書で、オール2色印刷、横組み、そして全ページに手描きのパーツが埋め込まれている異色の作り方をしたビジネス書です。この本自体が「デジタル時代に手描きを効果的に使う方法」の見本を兼ねているといえるでしょう。

「企画書は1枚」というのは、昔から言われ続けてきている言葉です。忙しいキーマンの目に留めてもらうには、何ページにもわたってずらずらと言葉による説明が続く企画書では無理で、重要なポイントだけをA4用紙1枚にまとめるべきだということです。

本書はそれをさらに進めて、「手描きの、1枚」としているところが新鮮です。しかも、「手書き」ではなく「手描き」。つまり、書き文字のアナログ性だけでなく、ビジュアルで、図式で、多角的に理解しやすい企画書を作ろうというわけです。

したがって、本書では活字が脇役に追いやられています。目次などは全部書き文字。本文も見出しは書き文字です。ふつうのビジネス書なら太ゴシック体の活字が使われる強調表現の箇所は、フェルトペンで書いた手書き文字です。

このやり方は、本よりもさらにデジタル的なWebサイトにも応用できるでしょう。ネットショップなら「店長おすすめ!」とか「イチ押し新製品!」といったところに書き文字を使うと効果的かもしれません。そのほか、いくらでも本書からアイデアがパクれるでしょう。

もちろん本書は見せ方だけの本ではありません。たとえば「私のプランニング」と名付けられた発想方法は、こんな感じです。

1.集める 情報収集
2.書く 大きな白い紙に書く
3.眺める 遠くから眺める
4.組み合わせる 新しい関係を発見
5.発酵させる A4の紙1枚に1案のキーワード
6.ひらめく 「来た!」「いけそう!」
7.まとめる 戦略化

そして著者は「手描き1枚」の効用を、このように箇条書きでまとめています。
1.手書きのメリット 手紙のように想いを感じる
2.記憶に残る イメージを伴って伝わる
3.頭の中が整理される 全体が見え、メリハリがつく
4.納得しやすい 全体の流れがあり、明解。スーッと入る
5.「うまい」より心に響く コミュニケーションしやすい。ほっとする
6.手描きの安らぎ感 表現され、パターン的でない
7.アナログのチカラ デジタル全盛の中で、とび出て見える
8.より良い関係づくり 対話が起こりやすい
9.提案後の印象が残る 書き手の「らしさ」とその魅力

ユニークな考え方や表現方法を学ぶ、格好の指南書です。


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